2015 釣乃記
第壱話 ドライとニンフと雨の川
雨は止み、わずかな陽射しにもやが乱反射して。
解禁一回目の釣りがずっと雨、というのは初めてかも。
正午には止む、と思っただけでずいぶんと気分も軽くなった。
あと1時間、早めの昼食をとればそれくらいすぐに経つだろう。
土砂降りでもないし、川もひどい増水ではない。釣りが出来るかもという期待がどんどん膨らんできた。

キャンプ場の炊事棟で昼食の準備を始めた。屋根のあるのがありがたい。イスやテーブルも。至れり尽くせりだ。
ただ横風で吹き込んでくる雨だけはどうにもならなかった。
ドライかニンフか? 降雨の中だしハッチは当然ないし、僕はそれでもドライを結んだ。
足元もおぼつかず、キャスティングもぎくしゃくしたままの一投。特別なにかの反応はなかった。なんだろう、釣れる気がしないとかそういう感じだ。数投してみたがやはりなんの変化も見られなかった。
すぐにニンフに付け替えた。どのみちあと1〜2ヶ所くらいしか攻められないだろうから、ここはフライ交換の手間は惜しまないことにした。ニンフ一投目、これまたなんの反応もなかった。僕はもう一投して次の場所へ向かった。
少し小降りになってきた。カッパのフードを取った。ずいぶんと視界が開けた気がする。二番目の場所は春の流れの見本みたいなところだ。ここも最初にドライ。三投でニンフに交換。我ながらよくマメにフライを変えている。
しかし水面は沈黙したままだった。
熱々ラーメンも速攻で冷める寒さかな(^O^;)
食べ終わって片づけた頃、時刻は13時をまわっていた。
まだ雨は止む気配はなかった。雨雲レーダーを見ると僕のいる場所周辺には雨雲はかかっていない。
レーダーに写らない雨雲が居座っているようだ。

僕は腹を決めてウェーダーをはくことにした。今の雨量なら釣りもできなくはない。
本当に止むのは何時くらいになるかだが、これくらいの雨なら降っててもあまり影響はないように思えた。
バンブーロッドの感触は半年振り。
思えば毎年解禁一回目の釣行は、晴れの特異日なのではないかと思えるほど、晴れてばかりの年が続いた。
それも何年か前から途絶え、三月初旬らしい天候の中、最初の釣りをやってきた。
今回の天気は数日前からわかっていたが、そこは自然相手のことだからどう転ぶかわからない。
そんな淡い期待を秘めてやってきた訳だが、淡い期待はやっぱり淡かった。
幾分雨足が強まった中、僕は今年最初の流れに立った。
ビーズヘッドニンフ、アナグマとタヌキのヘアを使用。
すっかり体も冷えました。早くお風呂に入りたいな〜σ(^_^;)
一番目のポイントに戻った。入りやすさと過去の実績をもとに。時間的にもここが最後だ。
雨はすっかりあがっていた。代わりに冷気と風が襲いかかる。
またドライ。ポソッとフライに出た。空振り。
気持ちを落ち着けてキャスト。また出た! 空振り。いや、食っていないのか?
ノーウェイトのニンフに交換。反応なし。またドライに。
そして出た、空振り。そうか。
僕はすでに来週の釣行の計画を練り始めていた。
今年のベストのドレスアップはこんな感じで。
三ヶ所目、ここまでに釣り師らしい車は2台見た。こんな天気じゃ出足はかなり鈍っているのだろう。さすがに解禁のお祭りの雰囲気はなかった。
太い流れの中くらいのプール。ここでもドライ、次にニンフ。
立ち位置を変えて上流側へ。またドライ、そしてニンフ。
そろそろ手がかじかんできた。頻繁なフライ交換にかじかみはツライ。
ここも上がる事にした。どうするか? まずは手の感覚をもとにもどさねば。