其ノ三百三十一  ソルトフライ、再始動
ナイトヘロン(若鳥)を使ったソルトフライ。どうか?
緑のムック型ストリーマーを巻いて以来タイイングをしていなかった。
土日ゆっくりすると決めた今週末、ようやく重たい腰を上げてバイスにフックをセットした。
まずは去年好調だったソルトウォーターヘロンを巻く。
グレイヘロンではなく同時期に入手しておいたナイトヘロン(若鳥)のフェザーを使ってみる。
やや濃いめの色だが、人が見る限りでは戦闘的でいい感じ。
使い手が自信を持つ事は大事だ。
続いてスタンダードなヘロンでもう一本。にわかに一年前のソルトフライ熱が蘇ってきた。
フライだけでなく、海の状況の読みや場所の選定、キャストからリトリーブのやり方。
いろんな要素が合わさってメバルが釣れる。その各要素を思い出していかなければならない。
部屋にいる間はまずはタイイング。実弾はしっかりと用意しておかないと現場ではどうすることもできない。
もう一本巻いておくか。
少し明るめのヘロン。この明度の差が釣果にどう出るか?
今年は雪が多そうだ。十二月になり一気に寒くなり、体が寒さになれるのが追いつかない。もたもたしているうちに海もすっかり冬になっていそうだ。メバルを釣るにはいい状況にはなっているだろう。
問題はいつ出掛けるかだ。週末に潮のいい日を狙うのはもちろんだが、ある程度寒さが緩み日差しがあって風がない日。
そんな都合のいい日が簡単にある訳ないが、あまり厳しい気象条件だと気持ちがくじけてしまいそうだ。
次の週末は小潮だが下げ潮から夕まづめに続く悪くないタイミングだ。週間天気だと晴れにはなっている。行かない言い訳を自分にさせないために、フライだけはしっかり巻いておこう。僕は四本目のフックをバイスにセットした。
市内の島へ釣りに行ってからひと月半が経っていた。その間にも一度近場の海へ行ったのだがその時も釣れず。
今年はなかなか海に気持ちが向ききらず、誘われた時以外では釣りに出掛けていない。フライの雑誌には島のフライフィッシングの記事を書いたばかりだというのに。
それがなんでタイイングを始める気になったかというと、釣り具屋のスタッフが島へ行ってメバルをフライで釣ったと聞いたからだ。それを聞いたらさすがに大人しくしていられなくなった。メバルのフライフィッシングなら僕もいささか自信がある。去年の連続ヒットがまだ脳裏に焼き付いている。