其ノ三百二十七  #2、大きくもあり小さくもあり
フライサイズで巻き終えた時の充実感も変わるということがあるかというと、あるようなないような。大きくても簡単、小さいから難しい。それぞれのその逆もあろう。
ただ、大きい方がわかりやすいというところはあると思う。大きなソルトウォーターフライを巻くと、いかにもフライフィッシングしてるっていう気分になりやすい。
以前は僕はそこまでソルトに入れ込んでいなかったので、ソルトフライもそんなに感心はなかった。なにがきっかけで今のようにソルト寄りになったのか、はっきり覚えていない。
フライの大小、タックルや対象魚やフィールドが渓流のフライフィッシングのそれとは明らかに違う。
長年やってきた渓流のフライとのギャップの新鮮さに惹かれているのかもしれないし、今住む瀬戸内のフィールドをもっと楽しみたいと思っているのかもしれない。
さて、そろそろ#2のフックを料理してみようか。
T社 600SP #2のフック。タイイングに対する向き合い方が変わる。
離島のフライフィッシングから二週間、次なる意欲はしっかりとあった。
島行きの前はチューブフライにかなり入れ込んだが、今はシンセティックヘアマテリアルを使ったミノーパターンに執着気味。
シンセティックのファイバーを何度も巻き留め、ボリュームを増していく。そしてシザースでカットして成形。
徐々に形を成していくその行程がチューブフライの時とはまた違って面白い。
ミノーパターンは以前にも巻いたことはあったが、今回違ったのはサイズだ。
おそらく初めて買った#2のフック。T社600SPというこのフックはメーカーのカタログで、ソルトウォーターフックの決定版、と言わしめるほどの自信作。僕はそのうたい文句にあっさり引き込まれてしまった訳だ。
まずこのフックで戸惑ったのはバイスにセットする時。僕が10年以上使っているレンゼッティのプレゼンテーションバイスは、カタログ上は#2まで対応となっているが、実際挟んでみるともはやこのフックサイズは無理なのではないかと思えた。繊細な渓流のドライフライを巻くバイスと同じジョーで#2はないかなあという気がする。
タイイングに使うマテリアルの量も、渓流のドライフライを巻く時と比べると段違いだった。
ボディに使うシンセティックのヘアも、ちょっとした量の製品なら4本も巻けばなくなってしまう。
成形するのにシザースでカットした時に出る切りかすの量も半端ではない。
しかし、手間をかけた分、形を成してきた時の充実感も大きく感じられる。
サイズが大きい分、存在感や作った感も同様に大きい。
#2一本目。まずはこんな感じで(^_^;