2015 釣乃記
第参話 転がり続ける週末 〜前編〜
なかなかに手ごわい。簡単だと面白くない。でもな〜。
ようやく晴れ。 雪は・・・、増えたみたい(^_^;
午前11:30。 昼食準備開始。
この日はコンビニの高級袋麺、味噌味。魚肉ソーセージと野沢菜を乗せて。
水辺で食べるお昼はやっぱりおいしいなー。ポカポカあったかくて昼寝したくなる・・・。

早い昼食には訳がある。正午をまわったくらいからナミヒラタカゲロウのハッチが始まるはずだから。去年の釣行の記録からすると三月第三週だった。
ちょっと早いかな? とも思うのだが。雪もまた降ったみたいだし。
浮上途中や水面にぽっかり現れたダン(ナミヒラタは大型の部類)をヤマメたちが見逃すはずはなく、ナミヒラタのハッチとともに相当数のライズが起こった。たまたまそこに出くわした僕は大はしゃぎでドライフライをキャストした。
そして僕のドライフライは完全に無視されて、惨敗を喫した。去年の春はそれが二度もあった(二週連続だった)。その時もドライだけでなくニンフ、イマージャー、ウェットまでも持ち出したが歯が立たず、いたたまれない気持ちで川をあとにした。
そのリベンジという訳でもないが、特定のカゲロウのハッチとそのライズというフライフィッシングの独壇場とも言うべき状況がまたあるとしたら、やはり行ってみないわけにはいかなかった。
前哨戦で別のポイントへ。ここで釣れてりゃまずは余裕だったんだけど。
早めの昼食とはいえその前に何ヶ所か流してはみた。
先週、先々週と比べてもこの日が一番あたたかい。週の半ばの降雪の影響はあるんだろうけど、釣り人には釣りをする時の天気が精神的影響度は大きい。
しかしフライに反応するヤマメはいなかった。天気がよくても水の冷たさは遠慮なく伝わってきて、僕は現実を知った。

昼食をとっている間、釣り師らしき車が行ったり来たりしていた。攻めあぐねているようだ。
春の小川はさらさらいくよ〜♪ と気持ちよくお昼。
目の前の山道を地元の人が歩いていた。
まだラーメンをすすっていた僕は少し気恥ずかしかったが、あちらは僕のことなど気にもとめていないようだった。
手早く片づけた。時刻は12:30。そろそろ頃合いだ。僕はナミヒラタのポイントへ向かった。

まだいくらか雲でおおわれていた空がみるみる晴れ渡ってきた。
晴れると風も強まる。まあ、こればっかりはなるようにしかならないのだけど。
そして、ナミヒラタのハッチは始まった。
しばらく様子を見たが虫が飛ぶのは見えない。僕はまた仰向けになった。
たぶん数秒、うとうとした。長く経った気もしたが。
横を見るとナミヒラタが風に流され飛んでいるのが見えた。
よしきたっ! 僕はゆっくり体を起こし、流れに見入った。
飛んでいる。水面をじたばたもがいているのもいる。鳥がやはり飛んでいる。捕食しているに違いなかった。
きっと一年前と全く同じ状況だった。ただひとつ、ライズがないということを除いて。
しばらく待ったが変化はない。そんな計ったようにはならないか。
僕は川土手に仰向けになった。そよ風が気持ちいい。
昼食を食べていることもあってなんだか眠たくなってきた。ライズ待ちで寝てしまうなんてそんな事ある訳ないと思った。ただ横になるだけだ。
ふと目をあけ、首だけ起こして流れを見たが、変化はなかった。
いや、ある。流れの上を鳥がやたら飛んでいる。繰り返し行ったり来たり。これはもしや鳥が虫を捕食しているのでは?
一年ぶりのポイントはかなり浅くなっていた。このポイントに限らずだいたいがそうなる傾向だ。
ポイントは静かだった。虫も飛ばずもちろんライズもない。
風は吹いたりやんだり。時折鳥のさえずりが聞こえるくらいだ。

そもそもナミヒラタのハッチにこだわり出したのは、一年前にここで遭遇してからだ。
ナミヒラタカゲロウの羽化は三月、川底でダンとなりその姿のまま水面へと浮上する。
果たして一年前と同じくナミヒラタの集中ハッチはあるか?