F.F.雑感
其ノ七百十  ムカゴとポルチーニ
その先でもう一本、更に雑キノコがパラパラと生えていた。急にキノコっ気が出てきた。
キノコが出るには特定の条件があるのは間違いない。まだ雰囲気でしか解らないけど。しばらく行くとまたキノコは姿を消した。

「おいしく焼くバランスがあるのよ」と帰りに寄った丸笑のおかみさんが言った。お好み焼きの麺の量の話題になった時の話だ。
それは少し、キノコの生える条件に似ているかも、と思いながら僕はお好み焼きをヘラで切った。
この週末、何度か山菜を一緒に採りに行った後輩のKくんと、初のキノコ採りに出掛けてきた。全く新規のポイント開拓がこの日の目的だ。Kくんはキノコ採りに行きたくてウズウズしていたらしい。僕は「あまり期待すんなよ」と言ったが、彼は採れなくても探したり食べられないキノコを見たりするだけで、それが楽しみだと言った。
未知の領域に踏み込む時のワクワクする気持ちはわかるが、収穫0で帰るのは冴えないものだよ、Kくん。

南東向きの斜面、最初は外したので次に向かおうと思ったが、この近くに初夏の頃にミズを採る谷があるのを思い出した。今時期はミズにムカゴがついているはず。去年はTさんといくらか採った。
ミズの谷の入り口で見てみると、ぷっくり膨らんだムカゴがついている。去年採ったものよりもサイズが大きい。
豊かな木々の山塊。標高が高く、日中も涼しい。
どういった条件がキノコを育てるのか? 出るところには出る。
僕たちは本来の目的に戻ってあと一箇所、キノコポイントの開拓に向かった。
南東に開けた斜面、釣りで行った事のある支流の上流域がそれに当たるので、そこに向かった。
途中の広い場所に車を停め、歩いて道を辿る。山越の道は歩いている間、1台の車も通らなかった。
斜面に広葉樹の木々、雰囲気はいいがキノコは見当たらない。更に行くと前方の地面に何か見えた。
ヤマドリタケモドキの労菌だった。タイミングが遅く残念だが見つけられたのは嬉しい。
南東を向いている斜面、この日はそれをテーマにした。
図鑑に書いてあったキノコの生える条件。南東以外でも生えるが、おおむね南東が確率が高い。
地図で見ると、南東に向いている斜面の山で、道路が通っていて、という都合のいい場所はなかなか見つからない。逆の向きの方が多い感じだ。
良さそうな向きの斜面にある林道はひとつ見当をつけていて、まずはそこに向かった。
だいぶ奥まで歩いたが、ひとつのキノコも見つけられなかった。
丸笑さんのお好み焼き。麺1.5玉、生イカ生エビ入り。ボリュームたっぷり。
なんだと思って見てみると、そのツルにパチンコ玉大の丸いものが付いていた。これがムカゴ?
ヤマノイモとは地下に根を伸ばすツル性多年草の総称だそうで、その地上部のツルにムカゴが付く。地下の根は自然薯なのだが、掘って取り出すのは困難を極める。
簡単に採れるムカゴだけを頂く。これは事前リサーチしていたKくんのファインプレーだ。
収穫の楽しみは一応満たされたがキノコ狙いで来ているのだから、ちょっと微妙だった。採れないまでもキノコの気配を見つけたい。
労菌のポルチーニ。タイミングなんだよな〜。
ヤマノイモのムカゴのフライドポテト、美味でした(*^^*)    
ヤマノイモのムカゴ。ぽろぽろ落ちる。 
急きょキノコからムカゴに方向を変え、Kくんとその谷に入ることにした。
途中でもかなり採れたが、一番ミズがよく生えている場所で集中的に収穫した。採られた跡があったので、すでに誰かが採ったようだが、それでもまだ結構ある。
キノコが採れなかったらと考えるとこの収穫は貴重だ。
さらにKくんが「これ、ヤマノイモのムカゴです!」っと声を上げた。谷から道路に戻る手前で、Kくんが木に絡まったツルと格闘していた。
連なって膨らんでいるミズのムカゴ。収穫欲は満たされた。