F.F.雑感
其ノ六百三十六  フラットの黒光り
ただ漂っているだけに見える。難しそうだ。いつもの人は攻め始めている。僕も続く。
何度か投げるもゆっくり泳ぎ去ってしまう。その先に一際黒い魚影が見える。
一投目は魚影から離れ過ぎた所に着水。気付かれず。
二投目、魚影直撃か!?と言うくらい近くに落ちた。散るかと思ったら振り向いた。食った!?
ロッドを横に引くと一気に走り出した。掛かった!LineMasterの上のラインがすぐに全部出た。
リールが逆転しロッドが曲がり、真っ黒の魚体が水面を割った。
この釣りは会社の盆連休の間に行った時だった。連休中一日おきで行くほどのハイペースでは行っていないのは、潮のタイミングもあるが何よりあまりにも日中が暑いからだ。予報で37度と出るくらいだから実際はもっと高いだろう。もう僕の未体験の猛暑だ。フラットに立てば多少体感温度が下がるとは言え、命の危険を感じる暑さなのは間違いない。
夏バテチヌを釣った後、車で干潮前まで待機して、満を持して降りてみるとこれまた魚っ気がない。満ち上がり始めても潮流はほぼなく、ボラが泳いでいるだけだった。河川から干潟の方に移動し、そこでようやく満ち上がりとともに入ってきたチヌを見つけた。一度掛かったがバラし、あとは延々投げてはスルーされ、または散らす、を繰り返すだけだった。

翌日、ネット通販で注文していたLine Masterが届いた。釣り仲間のTさんが購入したもので、ほかでも紹介の投稿が目についていた。チヌ釣りの場合、ドロドロの干潟や石積みの上を移動する時以外はバスケットがなくても差し支えないのだが、Tさんのプレビューを見ているとかなり良さそうだったので思い切って注文した。
30本のJ字ピンで、ラインはこぼれず、シュート時に絡まず、と今まで頭を悩ませていた所が格段に改善されている。
黒光りする黒鯛(^0^;)。
白いチヌさん。バッチリ、カンヌキに掛かってます。
「反応が悪いね」といつもの人。この人がそうなら間違いない。実際僕も甘噛みひとつない反応の悪さを実感していた。
ボラが多いのはいつものことだがチヌとわかる魚影にフライをうまく流し込んでも、反応してくれない。かなりシビアだ。
刻々と時間が過ぎる。いつもの人が「暑過ぎて反応が悪い」と言う。水温がかなり高いのだ。
少ししてようやく1匹釣ったが、そのあとが続かない。ブレイク手前まで下った。
いつもの人が前方をロッドで指した。黒い魚影が漂っていた。
全てが夏の景色。煮えたぎる〜(^^;)。
チヌが護岸の石の表面をかじっている。僕は心で散るなよと呟きながら慎重にキャストした。
チヌは散らなかったが、落ちたのが手前だ。リトリーブすると反応した。ついてくる。さらにリトリーブ、ずっとついてくる。しかし方向転換した。食わんのかい!
護岸の所にはまだ居る。もう一度キャスト、またチヌが気づいた。リトリーブする、ついてくる。さらに引くと今度は食った!
しかし僕同様に暑さでバテていたのか、ろくに抵抗せずにネットイン。呆気なかった。
Line Master、畳んだ状態。軽量コンパクトです。
完全にいい条件、いい釣りなんて望むべくもない。
この状態からでも絡まずラインが出ていきます(^^;)。 
見事に流れが止まっている。こういう事もあるのか。まだ下げ潮の真っ最中のはずなのに。
河川の方も頼りない流れが河口に向けて流れているだけだ。干潟を歩き回って、2度ほどチヌを見かけたがそれだけだった。
8時前から始めたから最初は涼しかったが、9時を過ぎたくらいから容赦ない気温上昇ですっかりグロッキーになった。
僕は一旦車に戻ることにして川を横切ろうとすると、岸の護岸のあたりでモゾモゾ動く魚影が見えた。
来たからには早速使ってみたい。僕はLineMasterがきた翌日にまたフラットへ向かった。
前日が38.7度を記録、この日も同じくらい暑くなりそうだった。
下げ潮を狙う。いつものよく釣る人も来ていてすでに始めていた。思えばこの人もいるときに雷の洗礼を受けて釣りを断念したのが前々回。その前に謎テイリングや大潮大慌ての釣りがあり、前回が流れのなさにやられた。
四回連続不本意で終わっている。この日こそは満足して帰りたかった。
水もぬるま湯のようでした。チヌさんも参りますよね(>▽<;)