F.F.雑感
其ノ六百四十六  欲張る防波堤の先に  
ひとしきりボイルは続いた。割と近距離で水面が割れる様子は確かに興奮ものではある。
無論僕のフライに食いつく訳はない。それに今回は海で初の#4ロッドでやっていた。もし掛かったとして糸が切れなかったらロッドをへし折られていただろう。
さあ、本来の目的のメバルを釣ろう。だいぶ明るくなったが曇っているし、朝まづめのチャンスはまだ続いているはずだ。
1回、2回、3回、投げて引くが反応がない。ひょっとしてボイルにうつつを抜かしていたから、メバルがヘソを曲げたのか?
週末が台風が温帯低気圧に変わって前線を刺激してまとまった雨になる、という予報だった。その二日前、僕は有休を取って、八ヶ月振りのメバルに行く事にした。
前回のキノコはショウゲンジがうまくて、ホイル焼きとスパゲッティでかなり満足度が高かった。おかげで去年に比べて大幅にコウタケが不作のジレンマも少し解消され、ちょっとだけ採れているコウタケも今は乾燥待ちの段階だ。その充実度もあって、メバルに行く事に迷いはなかった。
風は強めの予報だが、朝が満潮の大潮でなんだか良さげな潮だ。 一月、二月に行きまくった朝まづめの釣り。当然今回もそれを狙う。その時は外したのは一回だけで、それ以外は満足のメバルを釣ることができたのだから、大いに期待してしまう。 
ところが目的の港の防波堤にクーラボックスらしき物体。取って返して手前の港の防波堤で準備を終えた頃にはかなり明るくなっていた。もちろんまだ全然良い時間帯である事には違いない。
平日なので、課外授業の釣り? らしき一行が。
向かいの防波堤には僕より早くから釣り人がいました。熱心だな〜。
バシャッという音で僕は海面に目をやった。水紋が残っている。
またバシャっ! 今度は水しぶきが上がるのが見えた。ボイルだ!
50mくらい先、当然届かないが、手前に投げても反応するかもしれない。僕はその地点にめがけてキャストした。
いやいや、仮に掛かったとしてもこれは青物のボイルだ。すぐに糸が切られるに決まっている。よしんば切られない太さの糸だとしても、ネットもないのに防波堤の上から取り込むことなんてできるわけがない。
夜が明けても厚い雲で薄暗い。
防波堤沿いに投げて40カウントしゆっくりリトリーブ。かなり深い。っと、クッとアタリ。感触はすぐなくなったがまたスズメダイなのか?
いや違う気がする。僕は少し間をおいて同じようにキャストしカウント。リトリーブしラインが半分くらいバスケットに入った頃、グイ〜ッとロッドが引き込まれた。
(きたっ!) これは重い。
メバルさん、もう青物ボイルに気を取られたりしないからね。
メバルに引き込まれ、#4ロッドが大きく曲がっていた。
もういいってぐらいスズメダイが(^^;)
釣りが終わった後の、久々のもぐもぐタイムは出前一丁、ゆで卵入り(*^^*)。
グーフーも次々と食ってくる(>▽<;) 
(クーラーボックス?) 目当ての防波堤、照明のある場所に人影は見えないが何か四角い箱のようなものがある。
そして車を停める場所では釣りの準備をしている人がひとり。これは微妙だ。しかしあの四角い物体は間違いない。
躊躇している時間はない。僕は引き返す事にした。すぐ手前にもう一つ港がある。そこの防波堤も有望だ。
徐々に空が明るくなりつつある。今が正に朝まづめのゴールデンタイムの真っ只中だった。
忘れた頃に単発でボイルがある。もうそれに投げる気はなかった。それよりも朝の好時間帯にアタリなしの方が堪えた。
曇っているので日の出がはっきりわからなかったが、着いてから2時間くらいは経った。
その間に一度のアタリもない。本当にヘソを曲げたんじゃないだろうな? 実際朝まづめが好調だったのは1月と2月だから11月の今は状況が違うのか?
クッとアタリがあった。ドキッとしたが弱い引き。スズメダイだった。
唐突に食ってくれました。ありがたや〜(*^^*)