其ノ二百七十四 フライボディに託す事
オーストラリアンポッサム。貴重なマテリアルには違いない。
すっかり寒くなってきて、朝起きるのもつらいなあ。
しかしその厳しい寒さの向こう側には必ず春がある。
ならば巻こうではないか、と急に思い立ってフライを巻く事にした。海フライ以外では禁漁になってたぶん初のタイイングだった。
特別変わったフライを巻くのではなく、オーソドックスなパターンを巻こうと思った。さて、ボディはどうするか?
ポッサムとフォックスをブレンド。ラフに巻いてみました。
例えばカゲロウのパターンだと巻く時に着目するのは、ウィングだったりハックルだったりになる。もちろんボディも大事だが、アピール度を考えたら最初にくることはないと思っていた。
しかし、やまめはカゲロウのどこを食べたい? と考えた時、翅やレッグではなく、やっぱりボディではないか。
カゲロウそのものを見つけるためには翅が先に目に入ることはあるだろうが、スカスカの翅や細い手足よりも、実のぎっしり詰まったボディこそやまめの捕食本能をかき立てる一番の対象物のはず。
そしてそのことをやまめは当然知っている。ならば魅力的なボディを巻く事は、少なくとも釣りにおいてマイナスにはなるまい。
レッドフォックス。中央にグレイのヘアがある。
まずは定番中の定番のパラシュートを巻く。ボディはせっかくなのでポッサムとレッドフォックスのグレー部を混ぜてみることにした。きめの細かいファーなのでダビングはやりやすい。
最初キチッと巻いたが、濡れた時の状態を想像して少しファーを掻き出してみた。
これをおいしそうと判断するかどうかはやまめ次第。
自分的には悪くない、と思っているのだから、やまめさん、よろしくお願いします。
クイルボディはリブが浮き上がってリアルに仕上がるが、手軽に巻けるのはやっぱりダビング。
シンセティックにもいいものがあるし、最近気に入って使っているものもある。
だが今回はオーソドックスなマテリアルを使ってみることにした。
以前M川氏の工房でもちょっと話しをしたことがあったのだが、やはりポッサムがいいらしい。
フクロギツネのボディヘアらしいのだが、僕が持っていてずっと使わずにいたものを引っ張り出して見てみるとヘアーズイヤーとかと比べるとガードヘアが少なく柔らかく細いアンダーファーが大半を占めるような感じだ。これなら密に巻けばドライフライ、ラフに巻けばニンフとどんなフライにも使えそうだ。
ほかにもなにかないかと引き出しをごそごそすると、ポッサム同様にきめの細かいヘアのスキンがでてきた。レッドフォックスだった。
かすかな記憶だとグレイフォックスというドライフライパターンのボディはこのレッドフォックスのグレーの部分を使うということだったような。いずれにしてもナチュラルでこんなグレーの色なのだからこれもなかなかの希少価値がありそうだ。