其ノ四百四十七  サワラと雑誌の週末
この週末、数週間ぶりに釣り具屋へ寄った。まあちょくちょく行っているから、久しぶりというほどの感覚はない。
この日は前日にお客さんが釣ってこられたサワラをお昼に食べるという。僕もおよばれさせていただくことになった。ラッキーである。

前回の島の釣りでアジを釣った時、そろそろキープして持って帰って食べてもいいかなと思い始めていた。
ワンコ先生アルバ氏、悲しそうな表情はサワラが食べれないから?
サワラは炙りとアルミホイル包み焼きの二品。
両方とも素晴らしくおいしかった。個々の魚の一番うまい時期にそのうまさを更に増幅させる調理法。
これは今まで僕が着手してこなかった領域だった。渓流魚はこれからもリリースしていくけれど、海の魚は自分が食べる分くらいはキープしたいという気持ちが、ここのところ湧き上がりつつある。
前にもそう思ったが、現場では釣った事で満足していた。
サワラの炙り。炙るという行為そのものに甘美な響きが。
サワラを頂いていると、釣った本人のNさんがやってきた。頂いていますとお礼を言い、常連のHさんといっしょに食べて話すいつもの週末の時間が流れた。
あれこれ話しをしているうちに、Nさんから「新しい釣り場を自分で開拓せんといけんよ」という言葉が出た。新しい釣り場の開拓。以前はよく思っていた事だが、最近は川でも海でも同じところばかり行っている。特に海(島)は七つの橋の島か、もう少し近いところの島ばかりだ。過去の釣果実績にしがみつき、無難にボウズのリスクの低い所を狙っている、と言えなくもない。サワラを頂きながら僕があまり行かない有望なポイントを教えていただいた。馴染みのない釣り場でちょっと冒険をしないといけないかな、とも思い始めた。
この日釣り具屋に来た目的は偶然のサワラのおよばれだけでなく、かれこれ十四年の付き合いになるフライの雑誌の最新号を見るためだった。
今号は表紙に僕の写真を使っていただいた。自画自賛だが実に良い表紙の雑誌だ。
雑誌に関わる面白さも、釣った魚をキープして食べる楽しみも、新たな釣り場を開拓する挑戦心も、今までと少し違った景色を見せてくれそうな、そんな予感がしている。
三度目の表紙採用。なんともいい気分(*^^*)