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其ノ四百四十四 また夏が来て、蝶が舞う | |||||||||||||||||||
三番目の島に着いた時はほぼ満潮だった。 この時点で先週と同じく四番目の島へ行っていても間に合っただろう。 しかし毎週同じ港で釣るのもちょっと冴えんので、場所を変えてみたい気持ちになるのも釣り人の心理だ。 午前8時過ぎ、すでに真夏の頃のあの暑さが島をおおっている。なんだか苦戦しそうな気配でいっぱいだった。 |
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じわりと暑さがのしかかってくる。 | |||||||||||||||||||
七つの橋の島の釣行はほぼ四番目と三番目の島ばかりだ。満潮がらみなら四番目の島、夕まづめなら三番目の島、というパターン。 久しぶりにそのパターンを崩してみた。三番目の島の午前の満潮。海面には先週同様サヨリが泳ぎ回っていた。 最初からいた釣り人はひとりふたりと帰っていき、入れ替わりに新たな人がやってくる。 その間に僕には一度のアタリもないままだった。 |
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釣行もぐもぐタイムはまた食べ過ぎ(^^;) | |||||||||||||||||||
そもそもこの週末は雨の予報だった。それが当たれば五週連続週末が雨ということになる。しかし直前に予報は真逆の晴れに変わった。しかもまた真夏のあの暑さが戻るという。実際には30度を少し超えるくらいだが、一度涼しさに慣れた体にはかなり堪える暑さだ。 時間の経過とともにその暑さがのしかかり、釣れない疲れも加わってかなりバテ気味になってきた。タイミングを逸したが、四番目の島へ移動しようかと思い始めていた矢先、ググッとロッドに魚信があった。 |
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引きの強さから一瞬ドキッとしたが、だいぶ小さめのメバルだった。 それを最後に見切りをつけ僕は四番目の島へ移動した。 いつもの中央港は二人連れの先行者がいて、僕のやりたい場所でやっていたので、その先へ向かった。 すれ違いざま、「こんにちわ」と笑顔で声をかけてもらったので僕も返した。いい印象の二人だった。 |
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唯一のメバル様。だいぶ小さいのによく引きました(^^;) | |||||||||||||||||||
海面は下がり始めていた。潮流は弱めで魚の気配は感じられない。 キャストとリトリーブを繰り返すも、全く反応はない。 まるで復活した暑さが波を押さえているかのように、海は穏やかで静かだった。島の山の蝉が鳴いていた。 ふとフライラインが伸びる先を蝶が飛んだ。うまくラインをかわしたように見えた。 |
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去年もいた島アゲハ。今年は暑かったでしょう? | |||||||||||||||||||
僕は中央港も諦め車に向かった。二人連れはサヨリを釣っているようだ。 すれ違う時、お疲れさまです と言うと笑顔で返してきてくれた。やっぱり印象がいい二人だった。 車を停めた場所の近く、オレンジ色の花の咲く一角にアゲハ蝶が群れ飛んでいた。確か去年もいたな。 海はすっかり干潮になり、僕と蝶と暑さだけがそこに取り残されたような気がした。 |
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真夏のような雲が浮いています。 | |||||||||||||||||||