其ノ四百四十三  雨際の島の錯綜
細かい雨が降っていた。気温も低い訳ではないので、かなり蒸し暑い。
水面に小魚が跳ぶ。細長い魚の群れが見えた。サヨリだろうか。
潮位が上がってくるまでまだ間がある。背の低い防波堤はそんな時に釣りやすい場所だ。
でも小魚が群れているだけで、僕のロッドを曲げてくれそうな魚は見えなかった。
本土はもやって見えない。島にも雨雲が迫る。
2ヶ月半ぶりの島の釣り。川のヤマメ釣りの時も思ったが、釣りの感覚がなかなか戻らない。
特に海は潮のタイミングがあるし、この日の七つの橋の島は午後から雨の予報だった。
満潮が13時、上げ七分あたりの時が降るか降らないか、微妙なところだ。
細かい雨は降ったり止んだり。僕はまだ潮位が低くても、四番目の島へ向かうことにした。
久々の11ftはえらく長く感じる。
ちょうど帰り支度の釣り人がいた。声をかけるとアジが入れ食いだったという。どうやら夜中からやっていたようだ。
誰もいなくなったいつもの防波堤でまずは内湾側をやってみた。最初の島の低い防波堤でも見たサヨリの群れが泳いでいる。サイズは小さいが釣った事がないから小型のフライをキャストしてみた。するとサヨリはいくらでも追ってきて突っついてくる。しかしフッキングしない。長く着き出した下あごが邪魔をするのか? フライで釣るならサイズをかなり落とす必要がありそうだ。
僕はサヨリに見切りをつけ、防波堤外海側を攻める事にした。スッと陽が射してきた。一気に暑くなった。
徐々に海面は上がってきている。外海側は潮流が強く魚影も見えていた。
しかしなかなか反応してこない。はて? 去年の九月はどんなだったっけ? 釣れはしたはずだが。
しばらく粘るがロッドに魚信が伝わる事はなかった。そうこうしていたら家族連れがやってきた。防波堤先端まで一気に行き、子供たちが楽しげに声を上げ、そしてお父さんがすぐ釣った。はやっ。
島釣行もぐもぐタイムは新発売トマトチキンカレーメシ。美味なり。
フライをシェニールで巻いたやつやいつものシラスファイバーのパターンにチェンジ。どれも思わしくない。
教えてもらったアジの情報も群れが入ってこなければフライでは分がない。
去年の九月はどんなパターンで釣ったんだったか。もうこれだけシビアならサイズを下げるしかないな。
夫婦連れの釣り師がやってきた。僕の近くで仕度をし、これまた始めてすぐに釣った。アジか?
気温24度、しかし湿度90%。
この防波堤で釣れていないのは僕だけだ。焦ってどうなるものでもないが焦る。
フライを#18にした。潮位は更に上がり、潮流がさっきまでと逆になっていた。
その一投目、ドンっときた。やたら重い。慎重にファイトし、水面にメバルが現れた。一気に抜き上げた。ティペットを持った時に切れたが、バスケットでメバルをキャッチできた。
生ぬるい風が吹いた。雨雲が近づいてきたようだ。
ご無沙汰しておりました、メバル様(^^;)