F.F.雑感
其ノ六百四十一  秋の気配を感じたから  
風も強く投げづらいのもあるが、チヌもかなり神経質で手強い。
黒い影はかなり見える。その鼻先にフライが流れているはずだが、甘噛みひとつない。
時間はすぐに経ち、干潮まであと1時間。僕はブレイク手前までくだろうと移動した。
途中でも黒い影はあちこちに見える。しかし無視されるか散ってしまうかだった。
干潮になった。ボラは見えるがチヌが見えない。 満ち上がりでもちらほらとチヌが見えるだけ。どうせ反応しない奴らだろう。
エイの後、今度は海水の色がおかしくなってきた。赤茶色の水が波打ち際に流れ込んできた。これが赤潮?
僕とTさんはそれでもポイントを探りながら釣りを続けた。そして・・・あきらめた。
Tさんはこれで今年のチヌは終わりにするという。どうもキノコが気になり出して綺麗にスイッチが切り替わっているらしい。僕はこれを最後にする気にはなれず、モヤモヤしたまま帰路に着いた。

翌日曜日、中潮で干潮が13時過ぎ、悪くない。どうするか、土曜日に釣りから帰ってから迷っていた。ああ、でもきっと行くんだろうな、自分。別の川の河口で手堅く釣って早めに帰ればいいだろう。だいたい釣りから帰って、洗うもの以外は車から降ろしていない。最初っからその気だったんだ。
日曜日の朝に準備をしている時、ロッドのフェルールにワックスを塗ろうとしたらワックスが固い。今までは夏の暑さでワックスもやわやわだったのに。
最後の最後で〜。こんなことってあるんだ(^0^;)。
5時間ぶりのアタリのあと、もう1匹追加。バイバイ、チヌさん(^^;)
河口に着き支度をした。まだ8時だったので潮位が高い。しかし川の中央はだいぶ浅いので、入ってしまえばいいかと岸から降りた。
「!?」冷たい、こんなに水が冷たくなっていたとは。前日のポイントとはだいぶ違う。
ウエーダーなしではきつかったが腰まで浸かりながら浅い場所まで歩いた。チヌはかなりいる。
ダウンクロスでいいところを流していみるが、反応がない。今までだったらゴソゴソっと吸い込む魚信があるのに、この日は無視されるかティペットで散らすかだ。
重たい引きで、やったと思っていたのに・・・(TOT)。(撮影 Tさん)
土手を進んでいくと見慣れたバイクが停まっていた。Tさんだ。
「ピッタリ同時ですね」とTさんが言う。そりゃそうだ、10時現場着くらいと前の日にメッセージでやりとりをしたのだから。
支度をして降りるが、まだちょっと潮位が高い。この日は若潮だからそんなには落ちない。
それぞれ別れて波打ち際を歩いてチヌの姿を探す。干潮まで3時間ある。その間の下げでなんとか釣りたい。
前回ここに来た時の、具合が悪くなりそうな暑さはもうなかった。
今年もよく釣り、よくすくいました
雲の様子も猛暑の日々とはだいぶ違う。
やはり安定カニフライ。使うのはこのパターンだけ(^^;)。 
護岸近くを攻めていたら、フライが何かに引っかかった。動かない・・・、じわりと動いた。
掛かっている。僕はリールを巻いてファイトの体制をとった。
リールを巻いては引き出されを繰り返す。Tさんがそばにやってきて、「エイじゃないよね」と言った。
ああ、これはエイだ。確かにチヌの引きではない。残念。
危険なのでロッドをまっすぐにしてティペットを切った。
エイを掛けたのは初めてだったが、ただただ重い引きだった。
僕は半ば諦め、岸に向かって戻り始めた。(今日もボウズか)
途中石が積んである溜まりの場所で帰るついでにと投げて引いた。
(動かない!?)ロッドを立てるとその先でググッと生き物の反応が! (きっ、きたっ!!)
始めてから5時間近く経ってのアタリ。僕は興奮で疲れが消し飛んだのを自覚した。

猛暑は去りワックスや水温と、季節の変化がそこここにある。
僕は秋の気配を感じながら、タックルを片付けた。
Tさんの愛車、大事に乗られているようです(*^^*)