サービスエリアで焼き牡蠣を見た時、よっぽど買おうと思ったが、思いとどまった。
朝ご飯は食べたのだし、空腹が満たされているよりは、多少空腹を感じている方が釣れるような気がする。なんの根拠もないのだが。

行きの道中はぱらぱらと雨が落ちてきていた。前日はかなりの雨量だったようだ。
なんだか今回は今一つ解禁の緊張感というか盛り上がりに欠ける。これもなんの根拠もないのだが。
極小カゲロウがハッチ。その時水面は!?
思った通り川は増水していた。釣りができない水位ではないが、なにしろ解禁直後のこの寒さでの増水だから、条件としては良くはない。
見当をつけていたポイントに着いた。ほかに釣り人は・・・見当たらない。何台かそれらしき車は通っていった。
フラットな流れのこの場所を今年の最初の釣り場に選んだ。
時刻は11時。ハッチが始まってくれないかなあ?
陽射しが欲しい。景色が寒々としていると釣れる気がしない。
突然目の前の林が揺れた。杉が自ら花粉を飛ばした時、その反動で木が揺れるのだ。僕は唖然とした。
黄色い煙状の花粉が風に流されてこちらに向かってくる。走って逃げたくなったがまず間に合わない。僕は手で目と鼻と口を覆ってその場にかがみ込んだ。ちょっと山を甘く見ていた。
一度やり過ごせば終わると言うものではないが、目が痒いのは出てきたがそれ以外はなんとか我慢できる。さて、川はどうか?
・・・ハッチなし。当然ライズも。そううまくいくわけがない。
風が出てきた。きっとたっぷりの花粉を運んでくれているのだ。全くいらんお世話だ。
最初の川のこのプール、期待してたのに・・・。
何ヶ所かポイントを見つつ上流へと移動した。
どこまで行けば釣りのできそうな状況になるのか?
行っても行っても変化がありそうもなかった。

もう十年くらい前、この川で解禁の頃釣りをした。
今回と同じく反応のないまま時間だけが過ぎ、最後の最後でなんとか1匹釣れた。
そのポイントが今目の前にある。
いよいよ本格ハッチの始まりか??
フッと目の前をなにかが横切った。なんだ? ・・虫だ!
やはりこのポイントだったか。俄然やる気が出てきた。
どうやらカゲロウが飛んでいるようだ。サイズはやや小さい。#16くらいか。
サイズを合わせたCDCダンを結ぶ。ライズは見えないがキャストした。居れば出るはず。
二投、三投・・。出ない。また何かが目の前を横切った。パラパラと何度も落ちてくる。
雪だった。
道の駅のしし汁セット。あったまった〜( ´ー`)y-~~
そしてついに白いものが落ちてきた。
しばらく待ってみたが期待したハッチは始まらなかった。
昼を告げるサイレンが鳴った。僕はこの川を引き上げ次の川へ向かう事にした。
次の川の方が大きな川で、その中でも魚がライズしそうなポイントは見当をつけていた。
もちろんそこも増水していた。しかも川の規模に比例して増水の程度も大きい。
とてもじゃないが、竿を出そうという気がしなかった。
この川の本流筋の近くに道の駅がある。そこのレストランでしし汁セットというのを頼んだ。柔らかい肉がおいしい。体もあったまった。
食べ終わって店を出ようとしたらご年配のご夫婦がメニューを選んでいるところだった。
僕はしし汁を教えてあげようと思ったが、声をかけそびれた。

粉雪が降る解禁。空腹の効果はなかった。なんだか今年の釣りは手強そうだ、と思った。
これもなんの根拠もないのだが。