かなり上空で鳥がさえずりながら飛んでいる。あんな高いところでさえずるのは、広範囲にひびかせて雌にアピールしているのだろうか? なんていう鳥だろ?

そろそろ午前中にだってハッチはみられるようになってきた。それならライズもしてくれてもよさそうなものだが、やってない。
気温、水温、太陽の向き、そんなこんなが魚たちの捕食スイッチのオンオフを左右しているのだろうか?
さて、釣りの前に桜の宮へ参ろうではないか。・・大漁祈願、大漁祈願(-_-)
「フライですか?」と声をかけられた。初老の男性がカメラを持って立っていた。
「これから虫が飛び始めるから良くなりますね」と男性。
「はい、そうなるといいのですが」と僕。うむむ、この人、フライを知っているな。

最初に降りた流れですでにカゲロウが盛んに飛び交っていた。
川原の石には小型のカディスもたくさんついている。ストーンフライもいる。ん? ハエも。
やまえんごさくとユスリカ。蜜を吸うの?
更に移動した。徐々に上流域へ。かなり川幅がせばまってきた。
でもここではすぐにライズを見つける事ができた。ひとつのプールで複数ライズしている。
僕は結んでいるパラシュートをそのままに焦ってキャストした。
出た! 空振り! もう一度キャスト。出た! 空振り! 
ちょっと待て。落ち着け。
ようやく冷静になりフライをCDCダンに替えた。さっきから大型のクロタニガワカゲロウのスピナーに混じって小さなカゲロウも飛んでいるのが目に付いていた。
ランチはマルちゃんカレーうどん葉わさびとソーセージ入り。
川へと向かう春の小道。
みたびキャスト。出ない。
水面をばたつかせ過ぎたか?
なんと、あれだけ待ち望んでいたライズを自分で消してしまった。
悔やみきれない失敗。意気消沈でもう一度キャストすると出た。あっさり釣れてしまった。
ハリを掛けて気の毒になるようなサイズだった。
これから虫をどっさり食べて大きくなる前段階のヤマメだ。ほかのライズも同じようなやつだったかもしれない。
今週もナミヒラタカゲロウがハッチ。とにかく目立つヤツ。
だんだん行くところがなくなってきた。昼食を取ろうと向かった場所には車が停まっていた。横を流れる川に誰か入っているようだ。
昼食を取り、横の川をつついていると車の釣り人が戻ってきた。
バンブーロッドを持つフライマンだった。
ひとしきり話しをし、facebookでリクエストを申請すると約束して別れた。
今年は釣り人を見かけることがずいぶん少なかったので、それでもようやくみんな動き出したのだなと思った。
今年の初ゴギ。引きずり出してゴメンナサイσ(^_^;)
花より釣果。いや、でもお花見もいいかな。
僕は来た道を引き返すことにした。今度は上流から下流へ向かう。
このまま帰るのはあんまりなのでなんとかもう少し良いサイズを釣りたかった。
野の花もさえずる鳥もカゲロウも動き出した釣り人も、それはそれ。状況の読みも大事だが、あんまり釣れないとやる気を削がれる。
そんな状況を打破する心当たりがひとつあった。
僕はそこへ向かう事にした。
小さな支流だった。目当てのポイントはもちろんライズなどしていない。
ねぼけた魚が見つけやすいように大きめのパラシュートを投げた。
・・・反応無し。もしここに居るのがゴギなら一回では目を覚ますまい。またキャスト。反応無し。
まだまだ、ゴギは寝起きが悪い。昔は10回投げてようやく出ると言っていたもんだ。
三回目、投げたフライがぼそっと消えた。思ったより寝起きは良かったようだった。
アイボリーのレッグとテールにマホガニーのボディ。
ヨシノコカゲロウ登場。
やっ、スマン。すぐにリリースします(^_^;
週末に不足気味になるフライは平日で補充し、フライボックスにも不安はない。虫もこれだけ飛んで準備はすっかり整っているのに、肝心の魚たちがまだくすぶっているようだ。先ほどのおじさんも川の中の住人の事情まではわからなかったか。
一番期待の持てる捕食スイッチはやはり時間帯か。11時を過ぎた辺りからグッと期待値が上がってくる。
場所を変えようと土手を上がった。土手には色とりどりの野の花が咲いていた。この辺りの桜もすでに開花している。また上空で鳥がさえずるのが聞こえた。こんな山里では町で暮らすよりも季節の変化を感じとれるものをたくさん見る事ができる。
車まで戻り移動。秋にペアリングを見に行く川でやってみたがウンともスンともいわなかった。また今日も雲行きが怪しくなってきた。