さぎごけが辺り一面に。
一匹釣って交代、としていたがなんぼも釣り上がらないうちにすぐ交代。魚影は濃い。
M川氏がこの日一番の大物を釣った。僕も負けてられない。ひとつのポイントは一投で決める。
出た! 僕が釣るのはなんでだか同じサイズばかり。
ふとあたりを見渡す。山の稜線はかなり近いように見える。
流れも相当細くなってきた。さすがにM川氏も僕も帰りの道のりのことを意識し始めた。
2014 釣乃記
第拾話 ハイランドの住人
どこからか湧き出すようにゴギがフライに次々と・・。
1,000m級の峰の連なる、その谷間へ(^O^;)
ほぼ源流域まで到達。まだゴギは出るのか〜?
僕もゴギ釣れました。ワイルドな顔つき〜。
林道の終点から山道に分け入る。これから一時間以上歩くことになる。僕もM川氏もまだ余裕があった。歩いた先にゴギの釣れる川があると信じていたから。
山の浅い西中国山地では、車を停めてそこから釣るというのがほとんどだが、中には沢山歩いてようやく入渓という川だってある。
あまりそういう場所にチャレンジしてこなかったが、今回M川氏と意を決して行ってみることにした。
二人で交互に釣り上がる。
最初のM川氏のゴギのあとが続かない。決して水量たっぷりの川ではない。まだ渇水とまではいかないがポイントは絞られてくる。
迷わず投げれるのはいいが、どうにも反応がない。
ふっとカゲロウが飛んだ。マエグロヒメフタオカゲロウだった。
ああ、そうか。そういえば来る途中のさぎごけや藤の花・・・。
M川氏にまたきた。これも最初のに負けない良型。
僕はだんだん焦ってきた。
川へ降りたのが歩き出してから1時間ちょっとあとだった。
帰りの道のりを想像すると気分が重くなるので考えないことにして釣り開始。
すぐにM川氏が良型ゴギを釣った。どうやら聞きしに勝る川のようだ。
今回の釣行先は情報源があった。釣り友達からの詳細な情報をもとに釣行を計画した。
唯一誤算はその釣り友達と僕やM川氏とでは、山道を歩くスピードがかなり違った事だ。
明らかに里の藤よりもこの辺りの藤の方が色が濃い。
静かな谷。緑に埋もれて過ぎた時間がそこにある?
フライのすぐ下をぐねぐねうねっている。食おうかどうしようか迷っているふうだ。
そのまま流すとこらえきれなくなったゴギが食いついた。6フィート3インチが気持ちよくしなる。
続いてM川氏またヒット。僕も。
「ようなってきたのう」とM川氏、確かに反応がずいぶん違ってきている。
咲く花やカゲロウのハッチからして、高地のここは季節が里よりだいぶ遅れているようだ。
それはゴギの活動時間帯にも当然影響する。
先週覚えたこのフライが効いた。
マエグロが飛び始めて反応が変わった。
もはやゴギですら生息不可能域までやってきた。
川の横の斜面を上がった先に山道があるとイメージして僕たちは斜面をよじ登り始めた。しかし行けども行けどもそれらしい道は現れない。
(来た川を下るしかない)これ以上斜面を登り続ければ迷いかねない。川を下れば必ず帰れる。
僕もM川氏もこの高地の川の住人に見送られて帰路についた。
足はがくがくよたよたで、名残を惜しむには十分なゆっくりのペースで。
さて、遡っただけ、そして釣っただけ戻ろうか。