最近気になるのは川の状況よりも里の産直市の季節の品揃えだ。
山で山菜を採る余裕がなければ、せめて新鮮なものを買い求めるのはごくごく自然な流れだ(!?)

連休でにぎわう町から脱出し、まずはやっぱり釣りをする。
10年ぶりくらいにやってきた川はようやく八重桜が満開を迎え、町とはひと月以上の季節のギャップを感じさせた。
しかし人間の体感する季節と川の中のアマゴの感覚にもギャップがあるようだった。
八重桜満開。遅れてきた里の春。
立て続けのアマゴのアタックに、僕は困惑した。出るのに掛からないという例のヤツだ。
しかもアマゴはあきらかに毛鉤をハタキにきている。一番やっかいなパターンだ。
次のポイントで僕はこんなときの頼みの綱のコンパラダンを結び、一投目に全てを託した。
バシュッと出たが空振り。ああっと声が出て、そのままもう一度キャスト。流れにもまれて沈んだコンパラダンにいつのまにかアマゴが食いついていた。
季節の進行が遅ければ、アマゴの成長も遅い?(^_^;
キャンプ場に戻るとM川氏夫婦が到着していた。初日は焚き火を盛大にやる計画のようで、薪の準備に余念がない。
僕もあれこれ準備をしつつ、まずはビールを飲む。
ほかのメンバーはまだ到着が遅くなりそうなので、僕たちはかるく始めておく事にした。
やんわりと光量が落ちてきた。ランタンをつけるとぐっと気分が盛り上がってきた。
もちろんランタンを点けて灯を楽しむのもキャンプの目的のひとつだ。
炭火で少しづつ焼き物を始める。N君自信のとんちゃんが抜群においしかった。ホルモン自体もだが、タレがうまい。
あれこれ食べているうちに、山KさんやYやT君も到着した。
彼らがテントを準備している間にM川氏は薪に着火した。闇に浮かび上がる焚き火がなんとも気持ちを落ち着かせる。
最後の夕まづめのライズもチビヤマメ一匹だったが、この焚き火でくやしい気分も帳消しになった気がした。
焚き火を見ていると、何とも言えず落ち着きを感じるのはなぜ?
一年ぶりにMossのOutland 発進!
ラムチョップで胃の準備運動。
焼き鳥で肩慣らし。
キャンプ場に着いたのはまだ昼過ぎで、僕が一番のりだった。
昼ご飯を食べて、早速テントを張ってぼんやりしていると、今回参加のN君夫婦がやってきた。
野遊びをマルチにこなす彼がきたからには、今回のキャンプの食べ物にはおおいに期待が持てる。

僕はここに来る前の釣りの不甲斐なさを払拭するために、もう一度川へ向かった。
次の川は谷が深い。まだ三時過ぎだったが、すでに川筋は影に入っていて薄暗い。
ここではアマゴのハタキはなかった。テンポよくドライフライをくわえてくれる。フライフィッシングはこうでなくっちゃ。
だがしばらくすると反応が途絶えた。見ると新しげな足跡が。快釣もほんのわずかな時間で終わってしまった。
さらに辺りは薄暗くなり、なんだか心細くなってきた。川から上がれそうな場所が見えたので、僕は迷わず道に上がった。
車まで戻ると谷底とはうって変わってまだまだ明るいものだから、もう少しやってみようかと欲が出た。
この近くでライズのしそうなプールに心当たりがあったのだ。
ランタンに灯がともり、本番はこれから。
夜が更けて一気に寒くなってきた。僕は持ってきたありとあらゆるものを着込んだ。
寒さにめげずいつものメンバーのいつもの宴は進んでいく。
しかし僕は昼間の釣りの疲労か、はやくからビールにワインに焼酎と飲み過ぎていたからか、うとうとし始めた。
これはたまらない、と僕はギブアップしてテントに入りシュラフにもぐり込んだ。
シュラフの中はすぐに暖かくなり、僕は眠るのに数秒もかからなかった。
音は地面に吸収されてしまう。静かな夜は更けていく。