2014 釣乃記
第拾六話 群雨とゴギの一日
あといくつ滝を登らにゃあいけんのじゃ( I 談)
山の奥〜はこわいから、ひとりでは入りませんよ(写真提供 I )
この滝の横を・・・降りてきたと思うと(>_<)
幾人かの友達から誘われていたある川への釣行。
タイミングが合わずその釣りは叶わないまま八月も中盤を迎えて、禁漁まであと二週間となった。
その川へはなにか巡り合わせがなかったのだろうと思っていたが、急に釣友の I からそこへ行ってみたいとの連絡が入った。
今年初めて一緒に釣りに行った彼だったが、二人だけで入るにはやや不安があった。
そこで Y に白羽の矢を立てた。この時期忙しい彼との予定のタイミングはバッチリ合った。
実は川に降りた時、僕はそれが目的の川に注ぐ沢のひとつだと思っていた。降りた時の沢が別の沢と合流し、ようやく目的の川に交わると。
だから最初は下流へと向かおうとしていた。でも途中でこれが目的の川だと気付き、上流へ方向転換した。Yは最初から上流へ向かっている。I にはバレたが Y にはこのことは黙っとこう。
僕のロッドがグイと曲がった。幸先がいい! と思ったらバレた。
うむむ、これも Y と I には黙っとこう。
そして、釣行開始。いや、戦闘開始と言うべきか?・・・。
Yよ、良型ゴギなのにそんなぞんざいな扱いって・・(^O^;)
帰省の前の釣りになるYとは現地で落ち合う段取りだ。途中の道中でYは僕の車に追いついた。林道終点に車を置き、そこから歩いて川沿いの別の林道へ。ただ、川沿いと言っても川と林道はかなり標高差がある。
この川は5月にM川氏といっしょに入っていた。その時はゴギは好反応で密度の濃い釣りができた。
今回はM川氏と釣りをした区間よりも下流側から入ってみる予定だ。M川氏の時はだいぶ上流から始めたので良い所を飛ばした感があった。
林道から川へどのタイミングで降りていくか? この川に入った事のある僕の判断力が問われる。
僕もようやく一匹キャッチ!
ぱらりぱらりと雨が落ちてきた。沢を降りている時から小雨が降っていたが、本降りにはなっていなかった。
まだ滝区間は続いている。滝を登っている時に強い雨が降り出すとやっかいだ。
僕は垂直上昇に近い滝横のコースを登った。時にロッドを口でくわえ両手を使えるようにしながら。

ようやく滝区間が終わったように見えた。
ホッとするのもつかの間、滝が終わるのを待っていたかのように強く雨が降り始めた。(つづく)
少し上流へ進むと滝が現れた。
僕たちはなんのことはないと、その滝を越えた。
また少し進むと滝が現れた。
僕たちはなんのことはないと、その滝を越えた。
そしてまた少し進んだ・・・。
滝が現れた。大きい。
その滝の手前で Y が良型のゴギを釣り上げた。
それにしてもかなりの落差。垂直に登らなければならない。僕と Y はこういう場所は得意分野だが I は苦手そうだった。
深い谷底は僕たちなんて簡単に呑み込んでしまいそう。
標高差のある林道から川へ降りるのなら、その川に注ぎ込む沢伝いで、という方法がすぐに浮かぶ。
僕が「ここから降りよう」と提案した沢にはとんでもない落差の滝があった。なんとかその滝の脇を垂直降下のようにしながら降りたのだが、その時点ですぐに足が筋肉痛になるほどだった。
しかし無事に降りられたからよかったようなものの、もし誰か滑落でもしていたら大変な事になっていた。決してベストな判断ではなかった。引き返す勇気も必要だった。反省。
ともあれ目的の川に降り立った。これからどんな釣りが待ち受けているのか? Y も I も僕も気持ちの昂ぶりを隠す事はできなかった。