其ノ三百十六  梅雨の毛鉤巻き算段
色濃くなるほどテレストリアルのシーズンも盛期に。
梅雨で雨だからタイイング。
なんとまあ短絡。もっと言えば雨でヒマだからタイイング。
どのみちフライのストックの危機的状況からすればこの週末は天気の動向に関わらずタイイングは必須だった。

キャスティングやドリフトの良し悪しは最重要課題だが、フライパターンもヤマメやゴギの反応を大きく左右する。
スレ具合や渇水が追い討ちをかけるこの季節は特に。
梅雨が明けたら真夏突入。
梅雨の合間にどれだけ釣りに行けるかだが、明けたら使うフライもまた変わる。
ピーコックは好きなマテリアルなので、梅雨明けからは俄然これを使ったパターンを多用するようになる。
濃い玉虫色の輝きが暑い夏のきびしい釣りを象徴しているかのようで、僕の中では印象深い。
ハールをボディに、ソードをウィングにしたパターンを巻いてみた。
ヘアウィングのパターンはこんなアレンジでいこうかなあ。
梅雨を境にメイフライパターンからテレストリアルへ。と、決めている訳ではないがおおむねそんな感じになるだろう。
テレストリアルの初期は色目も中間色で形はカゲロウにもカディスにも陸生昆虫にもとれるような、そんなフライが好ましい。
そういうフライをぼんやりイメージしたらカーブのシャンクのフックを使った半沈みのヘアウィングパターンに行き着いた。こんなフライは以前も巻いていたし、前回の釣りでもアントの代用で使ったりもしている。
改めてこの季節の攻略を意識して巻いてみると、僕のテレストリアル初期パターンとしていい感じに思えてきた。
ちょうど今時期は黒い大きめのカディスも飛ぶ。カディスも暑い季節は黒っぽいのが出てくる。カゲロウには黒いのはいないが、アリにしろ甲虫にしろ黒を身にまとうのは外敵から身を守るためなのだろうか?
徐々に色濃く変化する夏前後のタイイング。季節と釣行先の川を頭に巡らせて、さあもう一本。
ん? いつの間にか外の雨は上がっているみたいだった。
ヨツメトビケラをイメージして。これもテレストリアル寄り。