前回の釣りの時がどんな格好だったか? いずれにしてもこの日はTシャツに薄手のフリースだけで十分とは、ちょっと川に来ていない間に季節は着実に進んでいたようだ。僕はすっかり釣りからも季節からもおいてけぼりをくっていた。
里の桜も木によっては散っていた。桜が散ると次にひかえるいろんな花が咲き始める。山の斜面は新緑も目に付くようになっていた。僕はウグイスの声を聞きながらゆっくり釣り支度をした。ちらほら虫が飛び始めている。ライズが始まるといいなあ。
この川沿いの道路で、途中釣友のmGの車を見かけた。川を見てみたが彼の姿は見つけられなかった。mGとこの川で一緒に釣りをしたのはちょうど一年前のことだ。数日前、彼からここがいい感じになっているとメッセージをもらっていたのも、この日の釣行の背中を押してくれていた。
レギュラーのマエグロ登場。
フラットな流れでボソっと出た。かなりラインを出していたのでフッキングから取り込みまでがスリリングだった。
どんだけ振りか? というような魚の手応え。よかった、釣り方を忘れていなくて。
本流っぽい銀毛しかかったような魚体。サイズがもうちょっとあればだが、まあぜいたくは言うまい。
気付くとかなりの数のカゲロウが水面から飛び立っている。いよいよ良い時間帯になってきたか。
花は咲き、鳥は鳴く。僕はずいぶんと薄着になって、季節の進み具合に気が付いたσ(^_^;)
2014 釣乃記
第六話  忙しい釣りとゆっくりの日
帰り道の途中、僕がいくつか持っている陶器、風炎窯さんのギャラリーに寄った。
思い掛けなくそこで地域の事などいろいろ面白い話をうかがわせていただいた。ゆったりと心地よい時間が流れた。
僕のやっていることの新たな可能性を見いだせそうな気もした。これはまた別の機会に。
ここでどうしても欲しかった酒器を買った。
ギャラリーを出た時、いつのまにかズボンがすっかり乾いているのに気が付いた。
日本酒は控えてます。でも週末にちょこっとだけ・・ね!?(^_^;
あらよっと・・・ってこんな調子だから沈するの?
銀毛っぽいのもまた本流の釣りの特徴。
細長いプールの奥でライズ発見。手前からの遠投でしか攻められない場所だった。
こういう時にキャス練不足を後悔するが、今はやるしかない。
バックキャスト一回、シュート。と、届かん。
落ち着いて、もう一度。今度は良いところまで飛んだ。出ない。
三投目、更に飛んだ、出ない。
ライズは止まってしまった。
ラインを手繰りフライを見るとティペットと絡まっていた。こりゃあダメだ。遠投を意識するあまりひどいテイリングをしていたか。
昼を知らせるサイレンが鳴った。でも僕はライズ遭遇の望みを託し次のポイントへ向かった。
中くらいのプールの流れ込み、一投で良いところを流せた。
バサッと魚体がかぶさったが空振り。その時バランスを崩して僕は尻餅をついてしまった。
あっという間にウエーダーに水が流れ込んだ。一瞬の出来事だった。軽装で釣りができるようになったとは言え、まだまだ水は冷たかった。
僕は観念して昼食をとることにした。
また会う日までにもっとたくましく育っておくれ。
本流はキャスティングの障害物がないのはいいが、釣りとしてはむつかしい。
mGの車からだいぶ上流へ移動して、僕も釣りを開始した。
ロッドを振るのは四週間ぶりだった。四月に入ってから釣りをするのはこの日が初めてだ。
今回は広い場所での釣りと決めていたから7フィート3インチ#4で出撃。#12の見えやすいパラシュートを結んでキャスト。
確かによく見えるが反応がないのもよくわかる。
水位は釣りやすいくらいには落ち着いている。カゲロウやカワゲラの飛翔が目立ち始めた。
こちら準レギュラーのマダラカゲロウの仲間。