僕が釣り終わるのを待っていたかのように、また雨が降り出した。
昼食の用意をしているとぽつりときた。あれよあれよという間に強い降りになってしまった。
バックドアを開け、それを屋根にしてそそくさと昼食を食べ、さっさと片づけた。
車に乗りガラスを叩く雨音を聞いていたら、(今日はもうやめとこうか?)という気になってきた。
出発も遅かったし天気もこんなだし、こういう日もあるかなあ。
ランチ会場へ来る途中に停まっていた車の様子を見に戻った。
その車で持主が着替えていた。やはり釣友のT君だったか。
2014 釣乃記
第拾弐話 クラウド イン ザ レイン
ちい〜っちゃいヤマメさん、パーマークはきれいだ〜。
カエル先生を狙うニャンコ先生、静かな攻防は続く(^_^;
T君とも遭遇。みんな行くとこ同じだな〜(^_^;
目が覚めてから起き出すのに一時間。もうすでにこの時点でダメでしょ。
天気予報なんてアテにならない。ま、外れた時はそう思う。
市内は曇り空、どうしようか? やっぱり行こうか? で一時間後にようやくのそのそ起き出した。

いつものインターチェンジを降りた道の駅はいつもの様子ではなかった。ここをスタート地点とする100Kmウォークのイベントが開催され、今まさにスタートしようとしていた。
500名くらいの行列が僕が向かおうとしている県境の峠を目指して歩き始めていた。日本海側まで行くコースのようなので、その道のりを歩くと想像するだけで気が遠くなる。
僕は道の駅で天むす弁当を買い、車を発進させた。たぶん釣りエリアにつく頃には昼が近くになっているだろう。ウォーキング参加者の列を横目に僕は先を急いだ。

峠を越えた。下っていく途中の川ならすぐに入れる。カーブを曲がった所の広い道路脇で僕は知った車を見た。W氏のだった。
(ふうむ、ここから入っているのか)と、僕は一応川をのぞいてみようと車を降りた。
W氏はまだ土手で釣り支度をしている最中だった。僕がそっと近づくとW氏はかなり驚いた。ゴメンナサイm(_ _)m

「今日はラン&ガンで行く」とW氏は言った。ここがその何ヶ所目ということらしい。確かに水は少なめ、反応も薄いのならその作戦が正解かもしれない。僕はW氏と別れ、さらに下流へと向かった。
少し走ると今度は釣友のmGの車が停まっていた。
おりゃっ!? また入らんがなo(`ω´*)o
あ、ぽつりぽつりときましたよ〜。
立つ続けに出たがバラしてしまった。反応が良くなった?
不意に上流側から霧のかたまりが流れてきた。視界が悪くなる。
雨はほとんど霧雨状になっていて気にならない。
その霧雨のせいか、辺りがひっそりしている。音が吸収されたかのようだ。

また一匹バラした。でもなんだか不思議と気にならない。
帰ったらW氏とmGにも、釣果はどうだったか聞いてみなきゃ。
釣りをやめるには弱い雨。しかし止む気配もない。
「ウンともスンとも言わん」とmGはお嘆き気味。
僕は更に移動し、別の支流へと入り込んだ。
なんとか正午前、僕は手早く仕度をして川へ降りた。
ざっとひと区間やってみたが一切の反応は無し。mGよ、僕も嘆きたくなったよ。

あっさり川を上がった。もう腹が減ってきたので僕は昼食を取る事にした。
手ごろな道路脇の空き地をランチ会場に決めた。
W氏、驚かせてゴメンナサイ<(_ _)>
mGよ、釣れたかいのう?
ん?  少し雨足が弱くなったような。僕はすぐに車を降りた。
ここで間髪入れず釣りを始めないともう今日はしそうにない。
カッパを着て川に立つ。うん、雨は弱い。今までのうっぷんを晴らすようにキャスト。
そう簡単には釣れないが、ラインを伸ばしていくのが気持ちいい。

浅そうなチャラ瀬で一匹出た。小さいヤマメだが、この日の僕のぐだぐだしたリズムをこいつが一掃してくれたようだ。
もちろんまだ釣る気満々。次のポイントを見定める。
T君はまずまずのヤマメを数匹釣っていた。ちょうど雨も降ってきたのでいい頃合いだと引き上げの判断をしたようだ。
それにひきかえ僕はと言えばまだ数十分ロッドを振っただけだ。

T君と別れ、僕はその支流の下流側に移動した。雨足は弱まる様子はなかった。
う〜ん、どうするか? やっぱりこのまま帰ろうか?
朝出がけのうだうだ病がここでも発症してしまった。