2024 釣乃記
第肆話  桜とヤマメの二重奏
フライの下で何かがうごめくのがわかった。僕はロッドを動かしそうになるのをこらえて水面を凝視した。
しかしフライに何の変化も起こらなかった。
(これで何度目だ?)朝からフライに食いつきそうになったが食わないのが、もう何回あっただろうか。
まだ増水気味だから水面の捕食が難しいのかもしれない。そう思って半沈みのフライにしている。
ただ、それらの魚はおそらく全部小さいやつばかりだ。
週の中日でまた雨が降り、本流は増水だろうと最初っから諦めた。週末の天気自体も悪そうな予報だったが、結局は晴れの予報に変わった。行くつもりは消えかけていたが、支流なら釣りになるだろうと思い始めたら、行く気もまた復活し始めた。
用意だけしておこうと金曜日の夜に荷物を準備したが、そこまでしたらやっぱり行くことになる。土曜日、僕は西の川の支流を目指した。
着くと(途中の道中でもだったが)桜が満開だった。この辺りの桜は以前は僕の住む市内の桜の開花から数週間遅れていたが、今は市内と同時だ。釣りのエリアだけが桜の開花が早まる気候の変わり方をしたということだろうか。
色付いてきた花の里へ向かう。
川沿いの景色を彩る山桜(^^)
土手の道に上がると厚い雲に覆われているのに気がついた。
また雨が降りそうだ。もう増水は勘弁して欲しい。一番良い時期が潰れてしまう。

「釣れたかね」と道を歩く地元の人たちが声をかけてきた。
「数は釣れたけど小さいです」と言うと「もう少ししたら30cmになるよ」と返してきた。
(ホントに〜?)と心で思いながらも僕は「今日は桜が一番良いですね」と言い、その人たちと別れた。
少し広い流れのいかにも良さそうなポイント。思い切って奥にキャスト、これ以上ない所にフライが落ちた。
深みのある岸際のレーンを自然に流れている。出る、出る、出る、出ない〜。あそこを流して出ないのか? 魚がいないんだな。
一箇所目は早々と諦め移動した。上流へ向かい、二箇所目。川幅が狭く木も多い被さっている。
慎重にキャストするが、次々と木に引っ掛かる。
ヤマメは水面の捕食に、釣り人は狭い流れのキャスティングに、まだ慣れていないようだ。
行く先々の満開の桜。釣果の方は今ひとつ花開くとはいかず(^^;)



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順調に捕食し大きく育つ・・・その手前のヤマメさん(^^;)
水面捕食が慣れないヤマメの川もあちこちに桜が咲いていた。斜面の山桜や川沿いに植えられたソメイヨシノ、それぞれに趣がある。
時刻は昼近くになり、僕は車に戻って移動した。途中、本流をのぞいてみたが、やっぱり増水している。
別の支流に入り、まず昼飯。それから有望ポイントだけをやってみた。先週、五回投げて五回出て全部掛からなかった場所だ。
一投目ですぐ出た。今度は掛かった。小さいがようやく水面の捕食もできるようになったのか。
ロッドグリップと同サイズ!!(◎_◎;)。
水面の捕食、少しは慣れたのでしょうか。
川もぐもぐ今年初はチキンラーメンで。  
数匹釣ってまた場所移動。次の場所は川沿いの桜が見事で、まるで絵に描いたようなロケーションになっていた。
景色の良さに反してここでは一回出て食わず。それっきり。
最後にもう一箇所をとまた移動。田んぼ作業の人に声をかけて入渓した。少し小さめの溜まり、一投目で出て掛かった。でもまだもうちょっとサイズが満足できない。さらに奥に慎重にキャスト。フライに変化は現れずピックアップしようとする直前に出た。
・・・掛からず。