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2024 釣乃記
第弍話 春浅い川とナミヒラタ
ああ多い。道路から見るのとはだいぶ違っていた。川に立つと明らかに増水しているのがわかる。
目的の支流と本流の合流点まではウェーディングスタッフを突きながらでも辿り着けそうにない。 手前の流れの緩いところに数回投げて、僕はすぐに川から上がった。週の中頃にまとまった雨が降ったせいだ。降る前なら良かったんだろうけど。 僕は場所を上流へ移動した。次のポイントも本流だが最初の場所よりは流れが緩い。あわよくばここでハッチしてくれれば。 週中の雨のあと週間天気予報を見ていると、土曜日がまた荒れそうな予報だ。前回解禁後一回目釣行を思い出す。あれは絶対に一番釣りに行っちゃいけない日だった。最高気温1℃、曇り時々吹雪、ガイドも凍り魚の気配が一度もなかった。
まわりまわって次の土曜日も似たような天気。日曜日も朝が氷点下。そうするとその手前の木曜日が晴れのち曇り、最高気温11℃とベストのような気がしてきた。 思い立ったが吉日、すぐ行動しないと迷いが出る。僕は木曜日に有休を取っていつもシーズン初期にやる西の川にやってきた。思っていた以上に増水していたが、本流の上流域や支流なら釣りになりそうな水の増え方だった。 2ヶ所目のポイントは水は多いが十分釣りになる感じだ。ドライフライを流すが反応はない。今年はまだドライへの反応を一度も見ていない。もうどんなふうに反応が出るのかも忘れてしまった。
増水の川の中にたくましく咲く菜の花。
この日最後に釣れたヤマメさん。元気いっぱいでした(^^)
また出た。今度は掛かったが外れてしまった。やはり小さかった。この辺りに溜まっているようだ。
いずれにしろようやく今年初のドライへの反応を見れた。そのまま少し上流へキャストし、ラインをたぐりながら歩くと、何かが水面に出たのが一瞬目の端に映った。 合わすと掛かった。よく今のが見えたな。 小気味よい引きがロッドを曲げていた。寄せてすくい写真を撮りリリースするのに手を水に浸けた。まだ春の浅い川の水は思った以上に冷たい。またナミヒラタが僕の目の前を飛んでいった。 不意に目の前を何かが通過した。
(ナミヒラタカゲロウだ!)僕は周りを注視した。ほかに飛んでいないか、ライズはないか。 すると目の前の水面に一瞬でカゲロウが現れ、飛び立った。そしてまた目の前を飛ぶのが見えた。 集中ハッチが始まっている。これならライズするはずだ。僕はさらに上流から下流に向けて広くライズを目で探した。 だがライズしない。まだカゲロウは飛び立ち続けている。どうするか? 場所を変えるべきか? 僕はライズを探しながらチャンスが遠のきつつあるのを感じた。
やはりまだ3月初旬、寒々とした風景でした。
少し移動したり戻ったりしたが、ついにナミヒラタが飛んでいる間にライズは起こらなかった。
思い起こせば随分前にナミヒラタへのライズに遭遇したことがあり全く相手にされなかった。その後もナミヒラタのハッチには遭遇したことはあるが、それへのライズは見たことがない。 さらに上流側へ車で移動した。いい感じの流れで増水の影響はあまりなさそうだったが、フライに出てくる魚はいなかった。 さらに移動、だいぶ上流域に来て本流と言っても中くらいの支流くらいの規模になってきた。
半沈みのCDCパターンが効きました。
ナミヒラタカゲロウ、早速登場。
釣りやすい水位のポイントはヤマメも居やすい?
前回が釣れなかったのは、条件が厳し過ぎたと言い訳もできるが、この日は水位以外はそんなに悪くない。
それでも釣れないとなると気持ち的にダメージが大きい。陽射しはありハッチもあるのに、何をやっているんだ、という気になる。 唐突にフライに白い魚体が出た。水しぶきは全く上げずに。合わすが掛からない。ヤマメだった。 慎重に投げるとまた出た。掛からない。小さいのか? フライもナミヒラタに合わせて#11だから余計に食えないのか。 |