2024 釣乃記
第陸話  コシアブラと霧雨の渓
平水よりやや多め、ベストの水位だった。浮かぶドライフライにいつヤマメが出てもおかしくない。
(出る出る、出るー)・・・・、しかしフライには何も起こらず流れ過ぎていった。
この状況、あの流し方、それで出ないのならヤマメはいない。

薄曇りで絶好の釣り日和、僕は川から上がり、別のポイントを目指す事にした。
車で移動しながら、なんだか今年の本流の釣りはもうダメなような気がしてきた。
ゴールデンウィークに入り会社も連休に入った。今年は解禁後雨が続き本流が長い間増水で、思うように釣りができていない。でもせっかくの連休だから僕はその初日に釣りに出かけた。2週連続フライのスクールに参加したこともあり、本番の釣りが久しぶりのように感じた。
釣りが良い時期のスクール参加はどうなのかと思わないでもないが、スクールで得たものはかなりあり、釣りは有給休暇を取って平日に行く手もある。それよりも去年もそうだったんだろうけど、スクールで良い感じになったキャスティングが一年で元に戻ってしまったことを考えると、練習でしっかり体に覚えさせるのは必須だと思う。

餌釣りの人に入らせてもらった上流部だがカワムツしか釣れず、車のところに戻ると餌釣りの人も戻ってきていた。やはりカワムツのみ。しかしひとしきり話をし、情報も教えてもらった。釣法は違えど気持ちよく話ができる人はいる。
僕は本流を諦め、支流を二つ回ったが、1匹も釣れなかった。この日はそういう巡り合わせなのだと思うことにした。
ずっと増水だったのが、ようやく落ち着いたのに。
去年も作ったコシアブラホットサンド。これもうま〜(*^^*)
細かい霧雨が降ってきた。レーダーに映らない雨雲がかかっているようだ。
少し進んでまた一匹、さびた魚体のアマゴ。写真を撮っているとすぐに魚体の色が明るくなる。
目の前を黄色の何かが飛び去っていった。ミドリカワゲラだった。河原を見ると石の上で羽化しようとしているミドリカワゲラが何匹か見えた。
霧雨で濡れた新緑が映え、黄色のカワゲラが色を添える。
僕は今日もコシアブラを採って帰ろうと思った。
次のポイントは川の横に車を停めて川面を見ただけで濁っているのがわかった。
田おこしの濁りだ。最初の場所はだいぶ下流だからその間に濁りはとれていたようだ。
僕は川に降りることなく次の場所を目指して車を発進させた。
3箇所目、先行者の車あり。釣り人二人が準備をしていた。餌釣りの人たちだった。
話しかけると彼らは下流側をやるというので、上流側に入って良いかと聞くと快くOKしてもらえた。僕はお礼を言い川に降りた。
しっとり濡れた新緑の渓。マイナスイオン濃度も上昇中(^^;)



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スクール以外では今季一番のサイズ。今の所(^^;)
僕は帰る途中、コシアブラを採るため寄り道をした。
時期的には遅めだが標高が高いのでまだ新芽がある。山道を歩くと去年も採った木がちゃんとあり、いくらかは採られていたがまだ残っている。
なるべく残すようにして一本の木から1, 2個の新芽を採った。
誰もいない林の中で、鳥の囀りが響いていた。

翌日の朝はホットサンド、夜は混ぜご飯をそれぞれコシアブラを使って作った。どちらも春の風味が口の中に広がり、うまかった。
羽化したてのミドリカワゲラ。
フライ回収棒はコシアブラ回収棒へと進化(^o^)
バターで炒めたコシアブラで混ぜご飯。うま〜。  
二日後、僕はまた釣りに出かけた。雨が降ったので小渓流が良い感じになっているとの読みだ。
行く途中は細かい雨が降っていたが、川に着く頃にはほぼやんでいた。
ところが目的の川へ向かう別れ道は工事中で通行止めになっていた。これは誤算だった。工事期間は来年の夏までとなっていた。
すぐに頭に浮かんだ近くにある支流。もうそこしかない。
その支流に着き、釣り開始。最初の中くらいのプールで一匹目。おお、幸先がいいな。