2026 釣乃記
第拾参話  山椒とゴギとお好み焼き
粘って投げたが出ない。そのうちドライフライが沈んでしまった。ピックアップしようとするとロッドがブルブルっと震えた! 掛かってる!? これは前回と同じ、沈んだドライにくるやつだ。
バレるなよと祈りながら引き寄せてネットですくった。太いいいゴギだ。釣ったんじゃなく釣れた、という感じだがそれでも満足の一匹だった。
車に戻ってKくんに写真を見せるとKくんは「粘った甲斐がありましたね」と言って笑った。
ふとカメラを持つ僕の指から山椒の香りが漂ってきた。
少し前にKくんと山椒の実がなっている頃だから採り出掛けようと話をしていたが、週末前に台風がきて影響はなくなったが山の道がどんな状況になっているかわからないので、安全を優先し出かけるのは見送った。
去年は六月末に実山椒を採ったからもう遅いかと思ったが、まだイケるという情報に今回の予定が決まった。さすがにこの時期になると採れる山菜はあまりない。実山椒はこの時期の数少ない山の恵みのメインターゲットだ。
今年は山椒は増水したら良くなるポイントでヤマメを釣った日の帰りに、インター近くの道の駅の産直市で実山椒を運良く買えた。半分はKくんにあげてその実山椒で山椒味噌を作り、焼き物に塗って食べたが結構いける。さらに山椒味噌を山椒の葉で作る動画を見たので、今回は葉と実を両方採ろうという企みだ。
梅雨が明け朝から暑いこの日、町の暑さほどではないだろうが山だって暑い。それでもKくんは「空気が違う」と言った。

前回ですっかり気に入ったお好み焼きを今回も食べたあと、僕たちは山椒の実を採りに行った。去年僕が採った場所だが、懸念していた通りその場所に行く途中で道が通行止めになっていた。あとちょっとのところなので車を置いて歩いて向かった。
これを食べるのも目的のひとつ。わざわざ出向く理由がここにある(^^;)
「蜂より蟻が怖いです」とおかみさん。蜂は羽音や気配で近づくのがわかるが、蟻は音もなく忍び寄り足から伝い上がってくるのが恐怖だと言う。TVで蜂の被害のニュースを見ながらそう言った。
なるほど、わかる。何よりも山の蟻は町とはサイズが違う。僕はアントを巻くのに山の蟻のサイズを知っているから納得できるが、後輩くんは見たことはないだろう。
お店の口コミ情報通り、おかみさんは気さくで話好きの人だった。もちろんお好み焼きは文句なくうまい。
マッチョなゴギさん、釣れてくれて助かりました(^o^;)
まだ増水が引いていないゴギの沢。水、冷た〜(>▽<;)
「山菜の時期はこの辺りに色々採りにきてました」と僕が言うと、
「何を採りました?」と聞かれたので、「タラの芽とかウド」と言うと「ウド、美味しいでしょう」「青い部分を天ぷらで。最高でした」と、ほかのお客さんが入ってくるまでの間、話が弾んだ。

後輩のKくんと出掛けてきた目的の一つを達成し、次に向かう。
この日は山椒を採る。葉と実。山菜の本を買って調べたKくんによると、実山椒は時期的にはまだ十分にイケるらしい。
葉は全て山椒味噌に。実はどうしようか。
すでに暑い夏空と丸笑さん(^o^)
今年は葉と実を収穫。 
そこは前回Kくんと寄った場所でゴギが釣れる。そして山椒の木も見つけていたのだが、オスの木で実はならない。
葉を採ったあとは僕はゴギを釣りに横の沢に降り、Kくんは近くにフキとクズを採りに行った。
この沢のポイント、前回は期待のゴギは出なかった。
キャストするとすぐに出た。合わすが空振り。落ち着け。
もう一度投げるとまた出た。合わすと今度は掛かったがバレた!
ああ、何やってんだもう。最後にゴギを釣って締めたいのに。
途中に危険箇所はなく、山椒の木の場所に着き実の様子をざっと見ていると、僕はすぐに気づいた。(取られている)
低めの枝にちらほらと実がぶら下がっているが、数が少ない。これは誰かが採ったのだと確信した。手の届かない高い枝には実がしっかり残っているので間違いない。
なんとか高い枝を曲げて引き下ろし、いくつか残しながら実山椒を採った。
僕たちは歩いて車に戻り、もう一箇所の山椒の木のポイントへ移動した。
小さめのゴギも釣れたが、これも期待のサイズではない。