F.F.雑感
其ノ六百五十九  メバルと回鍋肉
暗い中に車のスモールランプが光っているのが見える。
(早い! 準備しているのか?)
6時過ぎ、まだ暗い。当然釣り人だろう。僕はやりたい場所の街灯の下には人や荷物が見えないのを確認して、そこへ向かった。
先にいた車はエンジンは掛かっているが車の外に人は見えない。明るくなるまで車中で待機しているのかも知れない。
いつもの場所に荷物を置き、街灯の下でロッドを継ぎラインを通す。東の空を見てみると少し白み始めていた。
前回七つの橋の島で幸運にも重量級のメバルを釣ることができたが、それ以外はさっぱりだった。紙一重の釣果だったし、その1匹に気を良くしてまた行こうとはちょっと思えない。
この日は初釣りできた港にやってきた。その時も朝まづめは不発で、明るくなってから重たいカサゴが釣れた。思えばこれも紙一重だ。綱渡りみたいな釣りが続いている。今回この港は初釣りから約一ヶ月経っている。少しはメバルも釣れるようになってやしないか? ダメだとしてもまたカサゴなら釣れるのでは? という二本立ての淡い期待でこの港にした。
だいぶ明るくなってきた。ケイムラファイバーのベイトパターンを投げては引きを繰り返す。指がかじかんで痛い。ドドドとエンジン音が響いた。漁船が続けて出港していく。全く出ていかない時もあるから、きっとこの日は漁にいいんだろう。
初釣り以降、ケイムラファイバーのベイトパターンが幸運を呼ぶ(^^;)
またまた今回も紙一重(^^;)。でもようやく朝まづめ復活か?
とは言っても中華鍋を振り徐々に火が通って、回鍋肉が出来上がりつつあるのを見ていると、違和感は気にならなくなった。
スープも用意して完成。早速食べると、うまい。釣りでこんなメニューはもちろん初だが、余裕がないとできるものではない。
今回も紙一重だったが満足のメバルが釣れたから回鍋肉も作れた。
炒める音に気づいてやってきたのか、いつの間にか猫がそばにいた。買ってきた猫用ご飯を猫にあげて、僕はまだ熱々の回鍋肉を食べた。




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家を出る時は2度だった。島の方が大体に気温は高いから3〜4度かも知れない。風は微風。着込んでいるから寒さは大丈夫。
まだ暗いが手始めに目の前にちょっと投げてみる。沈めて引くと濡れたラインでグローブが湿り、繰り返すと指先が痛くなってきた。
ラインを絡ませて一番いい時間にラインを直す、ということがないように、ワイドループで慎重にキャストした。
潮は上がりつつあるが海面はまだ低い。先にいた車の人は潮位が上がるのを待っているのだろうか。
猫さん、ほんじゃあひと眠りしますね(^^;)
キャンプ場でもない場所で回鍋肉、なかなかの意表をついたチョイス。
海面にバシャっと飛沫が上がり、魚体が見えた。
(いい型だ!)思った瞬間、グッとロッドが曲がり底に向かって走られた。それをこらえてさらに手繰る。防波堤上にあげる時、前回の重量級に引けを取らないロッドの曲がりと重さを感じた。
写真を撮っている時、濡れた指がかじかんで痛い。掛けてからあげるまではそのことを忘れていた。

少しすると釣り人がやってきた。先にいた車の人のようだ。きっと今まで車内で眠っていたんだろ。
昼飯の山頂付近、冷んやりした空気に包まれて。
漁船が頻繁に出港していく。海に活気が感じられる。
中の小メバルは数匹釣れました。 
橋を戻って本土のすぐの砲台跡見晴台、駐車場には軽のオープンカーが2台停まっていた。年配の男性二人が話している。
同じ車種、こだわりの車でドライブ、そして車談義。いい趣味だ。
僕も自己満足の時間、例の中華鍋を振るう。今回は回鍋肉の材料を準備してきた。
MSRをプレヒートし、炎が安定したら鍋に油を入れ熱する。そして材料を入れる。ジャーっと炒める音が派手に響いた。海の見える見晴台で回鍋肉を作るのが、えらく場違いのような気がした。
チビメバルが掛かった。赤メバル、回遊のブルーバックはこの冬見ていないんじゃなかったっけ?
防波堤沿いを引くが、初釣りの時みたいにカサゴが掛かることはなかった。毎回同じようにはいかないのか。そんなに甘くないなー。
少し海面が上がってきて、石積みが海中に没し始めた。石積みの途切れる角を横切るように投げて引く。際どい所を通したので引っ掛かった。・・いや、手繰れる。
ズズっと引き込まれる手応え。
(掛かったっ!)僕はさらにラインを手繰った。
風は弱く穏やか。年末の暴風の時はよく釣りをしたよ(>▽<;)