F.F.雑感
其ノ六百八十一  雪に埋まるナメコへ
去年、雪の中で採ったホンシメジの場所。何度もチェックしたがこの日も含めて全く気配がない。去年のあれは一体なんだったんだろう?
さらに進むとかなり程度のいいクリタケがあった。これだけ雪が降っても新しい菌が出てくるんだ。ナメコの収穫が少ないので、当然クリタケも採る。でもTさんもTSさんも今回はクリタケはいいと言う。僕は好きだけど人気がないな、君は。
そのあと二箇所ほどナメコが出ていた。少量だが収穫。
雪が降ればキノコシーズンも終わりの雰囲気が出てくる。車で行くのが難しくなるし、ポイントが雪で埋まる。それに出てくるキノコがグッと減ってくる。この時期だとナメコ、ムキタケ、そして僕はまだお目にかかったことのないヒラタケくらい。
十二月だから仲間の予定もだんだん合わなくなるし、実際この日はKKくんは前夜が飲み会がありそれで欠席だ。去年のキノコ採りもラストが今頃で、しかも僕以外は都合が悪くて僕のソロでのキノコ採りだった。
今年で四年目のキノコ採り。先に始めていたTさんとTSさんも言っているが、新規ポイントの開拓がなかなかできていない。ナメコに至っては今出ている枯れた木の栄養が尽きたらナメコも出なくなる。この先ずっと出てくれるわけではないから、出なくなる前に新たなポイントを見つけなければならない。これはなかなか大変だ。
結局この日も前回見置きしていたナメコの回収くらいしか当てがなかった。クリタケだけは予想外の収穫だった。
日当たりのいい所はだいぶ雪は溶けてます。
果敢に雪と熊笹の中へ挑むTさん。
轍のアスファルトが見えなくなった。この辺りは溶けていない。
おそらく路面はガチガチのアイスバーンだ。僕はゆっくり車を走らせた。
インターを降りてからしばらくは雪はなかった。しかし標高を上げていくと景色が一変した。積雪はほどほどだったので前日にかなり溶けたが、陰になっている場所は溶けきれず残っている。
前日からライブカメラを何度も見ていた。実に微妙な路面の状況だったが、遅めに出れば溶けるだろうという目論見だった。
雪が多く残る林道を、帰路を急ぐ。
「気持ちいいね」とTSさん。気温は低いが晴天で無風。林道や斜面には雪が残っている。本当に気持ちいい。僕たちは道の凍結した部分に気をつけて歩き始めた。
先週採ったナメコのポイントで、追加で出ていないかと今週もTさんTSさんと山にやってきた。車道は一部ガリガリに凍っていたが、なんとか無事通過。
一番手前にあるポイント、雪ですっかり覆われている。僕は斜面を降り、雪をかき分けた。ナメコが数本出ているのを見つけたが、それだけだった。
雪の中からナメコを掘り起こす。
雪と青空のコントラストが眩しい。
極上のクリタケがこの時期に出てました。 
「ナメコ、見つけちゃいました」通話の声が僕にまで聞こえた。急いで引き返すと、Tさんのいる場所の足元に横たわる倒木に、びっしりとナメコが出ているではないか! 僕とTSさんもこの前を通ったのに気づかなかった。
おそらくこの日が今年のキノコ採りのラストになる。パッとしない収穫で終わるかと思いきや、大逆転のナメコ。
でもこれからさらに出てくるであろうナメコも誰の目にも触れないように、雪が降り積もって包み隠してしまうだろう。
何箇所かでちょっとづつ採れたので、まあこんなものかと車まで引き返した。
路面の雪が少しでも溶けるよう、朝の集合を普段より1時間遅らせたのでもう昼を過ぎている。
昼飯を食べたあと、どうしようかとの話になり、近くの別の林道を歩いて終わろうと話が決まった。
そこはほとんどキノコっ気がなくて、早々に引き返し僕とTSさんは車まで戻った。
Tさんが戻ってこないがどうしたんだろうと思っているとTSさんのスマホが鳴った。
これだけのナメコ。初めて見ました。惜しむらくは開いていなければ・・。