F.F.雑感
其ノ六百七十四  キノコ達の饗宴
別の場所に行くと、そこにも車が停まっていた。この車の人はどこに入ったかわからない。僕たちはこの場所へ入ることにした。
今回Tさんが狙っているのはクリフウセンタケ。僕はまだ食べたことがないキノコだ。
過去にTさんが採ったことがあるルートを進むと出ていた。しかも出始めの状態のいいやつだった。
Tさんが歓喜の声を上げ、僕も一緒になって写真を撮った。傘が膨らむからではなく、軸が膨らむからフウセンという名が付いているらしい。
二年前の今頃、コウタケが豊作で圧巻の収穫量だった。ところがその翌年は思うように収穫できず、それは天候のせいなのかはっきりとはわからなかった。
Tさんによると去年は金木犀が咲くのが遅かったらしいが、金木犀が例年通りに咲いた今年は雨もまあまあ降り気温も朝は下がっている。いやがうえにも期待値は上がり、この週末にキノコ採りにやってきた。

クリフウセンタケを収穫し先に進むと人の声が聞こえ始めた。山道の反対側から二人連れがやってきた。挨拶を交わす。
「早いですね」とTさん。「地元だからね」と二人連れのうちのひとり。「今年はどうですか?」 「ようやく出始めたよ」
健闘を讃え合い二人連れと分かれた。おそらく入り口に停まっていた車の人たちだ。
僕たちが車まで戻ると、先に停まっていた車はいなくなっていた。すぐに別の車が通りかかった。そして降りて支度を始めた。またTさんが声をかけ、彼らはコウタケを採るのだとわかった。一番最初のポイントの車、二番目の車、そしてこの人たちと、矢継ぎ早にキノコ採りの人たちの出現。この週末が採り頃だと手だれの人たちはわかっているんだ。
狙いのキノコが見つかると、達成感もアガります。
出たばかりのクリフウセンタケ。このタイミングで出会うのが難しい。
翌日の日曜日は昼にサクラ・ハタケの両シメジのスパゲッティ、夕方にウラベニ、クリフウセン、ショウゲンジを炙りで頂いた。苦味と旨味がいい感じだ。炙りは日本酒に合う。
キノコはやはり採れたてをすぐに食べるのがうまい。山を歩き回って収穫したキノコを新鮮なうちに食べる。これはなんとも贅沢な趣味だ。
山を歩いて気持ちよく疲れ、晩酌の酔いもあってか、僕はまどろんだり目を覚ましたりを繰り返し、そして夜は更けていった。
「金木犀が咲き始めるとキノコがよくなる」とTさんが言った。
山の木々の紅葉の具合を目安にすることはあったが、金木犀の咲く時期というのは知らなかった。
山間部に入ると15度まで下がった。快適だ。薄着だとやや寒いと感じるくらいだが、歩き始めたらちょうどよくなると思う。
僕とTさんは順当に秋らしくなっていることに安堵した。

最初に入ろうとしていたポイントに車が停まっていた。先行者だ。この感じは釣りと一緒だな。
キノコを炙って、一杯やって、最高です〜(>▽<;)
最初に入ろうと思っていたポイントに戻ったら、そこに停まっていた車はいなくなっていた。
先に入られてキノコが一掃されているかもしれないが、僕たちは入ってみることにした。
入って十数分、ようやく僕は中くらいのコウタケを見つけた。あってくれたか〜、とひと安心。
幼菌もいくつかあったので、次来る時が採り頃になりそうだ。
Tさんと合流すると彼はウラベニホテイシメジを数個採っていた。これは苦味がうまいキノコだ。
なんとか満足の収穫になった。
サクラ&ハタケシメジのスパゲッティ。うま〜(^_^)
今年豊作(!?)となるウラベニホテイシメジ。
2年ぶりのコウタケ大収穫(*^^*) 
さらに周辺を探していると、Tさんが状態のいいコウタケを見つけた。先行者が入った後だが、残っていたんだ。
しかもそのあともTさんは続けてコウタケとウラベニホテイシメジを見つけた。
確か僕が歩いて探したはずの場所でだ。僕が見つけられないのもあるが、とにかくTさんはよく見つける。
別の場所でハタケシメジとサクラシメジ、ショウゲンジも追加し、今回はライバルが多かったのに、終わってみれば大収穫だった。
美しい佇まいで生えるコウタケ(^0^)