|  
								カテゴリー ・TOP ・釣乃記 ・F.F.雑感 ・キャンプの話 ・隣人の毛鉤机 ・このサイトについて リンク ・Maekawa Craft ・TET.K'S Anything and Everything ・一遊一釣 ・ホームページ五目釣り ・我が愛すべきお魚たち ・Evidenced Based Fishing ・フライの雑誌 最近の記事 ・2012年釣乃記 第十三話 ・2012年釣乃記 第十二話 ・F.F.雑感 其ノ二百五十八 ・2012年釣乃記 第十一話 ・2012年釣乃記 第十話 ・2012年釣乃記 第九話 ・2012年釣乃記 第八話 ・キャンプの話 2012年初夏 ・2012年釣乃記 第七話 ・2012年釣乃記 第六話 ・2012年釣乃記 第五話 ・2012年釣乃記 第四話 ・F.F.雑感 其ノ二百五十七 ・2012年釣乃記 第三話 ・F.F.雑感 其ノ二百五十六 ・2012年釣乃記 第二話 ・2012年釣乃記 第一話 ・F.F.雑感 其ノ二百五十五  | 
								しばし流れに見入った。 やはりかなりの増水のようだ。 歩き始めてそれはより明確に伝わってきた。 待ちに待った雨が降り、熱望していた増水。あとはフライを落とせばいくらでもゴギが食いついてくる、とそんなうまい話はない。 水の感じは悪くはないと思うのだが、ゴギの反応は良くはない。 忘れかけた頃に小型のゴギがフライに飛びつく。 で、もう少しやってみるかという気になる。 
								苔むした岩がそこここに。苔類に覆われた谷を行く。 
								Yは前夜毛虫やアリのパターンを巻いてきていた。 水面下に沈ませて釣る作戦だ。 facebookでそれを見た時、僕も慌てて一本だけ巻いた。 もちろん川では僕はドライ、Yが沈めて釣っている。どのやり方が当たりなのかを探るためだ。 また僕がゴギを釣り、Yも釣った。だがどうにも盛り上がらない。 先週のゴギは小さいながらにテンポよく釣れて、そのテンポが気持ちを高揚させてくれていた。 今回はそれがない。 
								やはり水は多いようで、けっこうポイントが消えている。  
								先週に引き続いてYとの釣行。先週は数だけは釣れたから、まあそこそこの満足感はあった。 雨が降った分期待値は今回の方が大きい。時間の経ちようからしても次の川が勝負だなあ。僕は運転しながら頭の中のMapアプリを総動員して、近隣の川の検索をかけていた。 結局迷った揚げ句次は最初の支流の本筋の上流域に行く事にした。ものの十数分で着く。これだけ近くて状況が大きく変わってくれるだろうか。期待と不安が入り交じる。 狙っていた入渓地点には車はなく、まずは胸をなで下ろす。しかし最初の川以上の増水のようで、それはそれで不安要素でもあるが、ここまできたら行くしかない。僕とYはおにぎりをほおばって急速充電した。 
								「だんだんちっちゃくなってきた」 僕が思う事をYが先に口にした。ここまで計ったように同じ20cmのゴギが釣れていたのに、徐々に小さくなってきていた。 それに岩上の溜まりポイントも釣れたり釣れなかったりし始めている。 そろそろさすがのゴギも生息可能域を過ぎてきているのだろうか。 また岩を乗り越えた。流れはまだ標高を上げ続けている。もうしばらくゴギは釣れていない。 なんだか僕たちはとんでもないところまで来てしまっているような気がした。 僕は岩を乗り越えながら斜面もチェックしていた。ひょっとしたら稜線の山道へ上がれる場所があるのではないか? 不意に開けた場所に出た。久しぶりに奥行きのあるポイント。Yが攻める。 僕が斜面を見ているとYが声を上げた。良い型が出たが合わなかったようだ。 「ここから上がれるかも」と僕が斜面の小さな沢を指さして言うとYは 「いや、石が落ちてくる。危なかろう」と言った。 これから上流、まだゴギは棲んでいるのだろうか。 僕たちは見下ろす遥か下に向けて歩き始めた。 
								ゴギの釣れる法則は、増水さえすれば、なんて単純なものではない。 
								流れはまだまだ続く。きっといつかこの川の源へ。 
								Yのループがゴギポイントに向けて伸びる。 
								雨が降らなくて川に水がない時には、雨が降りさえすればどんな川も良くなる、いくらでも釣れる、って思っていた。 ところが待望の雨が降ったら降ったで、水が多いだのゴギの反応がイマイチだのと、結局釣れない言い訳をしに来ているようなものだ。 昼間でも薄暗い渓は、よく釣れるんならまだしもこんな感じだと気分が滅入る。 二時間釣り上がったところで、僕とYは場所を移動する決心をした。 
								すでに以前来た事のある到達点をとっくに通過していた。 僕も足を踏み入れたことのない区間だ。険しさは上がるにつれその度合いを増していた。 この谷を形成する山の峰に山道はありそうだが、ロッドを持って斜面を登る事は到底できそうもなかった。 上がれば上がるほど帰りの道のりも厳しさを増す。 僕とYはお互いが切り上げ時を口にするのを待っていた。 これは前回ここに挑んだ時と同じ状況だ。 
								この川には何年か前、途中で釣行を断念した経緯がある。 それはあまりにきつい遡行になったからで、途中から一気に標高を上げ始めるこの川の厳しい側面でもある。 徐々に急峻区間に近づきつつあることに僕は気が付いていた。 Yはこの川は初めてなので、そのことは事前に話してはいた。 よっこらしょと岩をひとつ登る。その先にある溜まりにフライを落とす。ゴギが出る。 そしてまた岩を登る。標高が一気に上がり始めた。 
								場所によってはひとつのポイントに何匹ものゴギが。      
								見た目通り最初の川より更に水は多かった。 しかし遡行できないほどではない。それにこの谷は木々で陰っていても最初の川よりも全体的に明るい。時間帯のせいもあろうが、こちらの方がリズムに乗れそうだ。 パタパタっと僕もYもゴギを数匹ずつ釣った。 計ったように20cmのゴギだが、こちらの方が反応もよい。 その後渓を釣り進むにつれ、ゴギの出は良くなっていった。ただサイズはやはり20cm。それ以上もそれ以下も釣れなかった。 
								葉が紫外線をさえぎってくれている。日焼け知らずの渓流釣り。     |