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啓蟄(けいちつ)を過ぎ、それなら水生昆虫の幼虫だって動き出すということにもなるのだろうか?
二十四節気がハッチチャートと結びついているのかどうか、しかしかけ離れた関係ではないはず。 遠くの山が霞んでいた。花粉と黄砂とPM2.5の飛散があるのは間違いなかった。 幸いなことに風がない。でもそのうち吹き出すだろうから、なんとかまだ穏やかなうちに釣っておきたい。
ん? 今、三月? なんだか暑いんですけど〜。
予報では最高気温は20度近くにまでいくようなことを言っていた。先週とはえらい違いだ。
もちろんハッチとライズは十分期待できるはず。 午前11時。僕は目当ての流れに降りた。 極小の虫が飛んでいるのは見えるが、カゲロウではない。 ライズは、というと、今のところ見当たらない。 (ライズはないが流してみるか) 僕はガイドに掛けていたパラシュートを外した。
落ち着いた水位。期待していいのだろうか?
あん? 流れのど真ん中に、なにコレ?
きっとさっきのライズの魚の方が大きかったと、あとになってそう思うものだ。
初物をリリースし、この先にある堰堤から脱渓しようと思ったが、どうも様子が違った。 流れがアシで埋まっていた。水面が見えないではないか。 土手に上がるまでに指を二ヶ所切ってしまった。まったくどうなってるんだ? ようやく土手に上がるとオオイヌノフグリがたくさん咲いていた。 フキノトウだってまだ見つけられていないのに。
ようやく今シーズンの一匹目。静かにスタートを切りました。
車の中で昼食をとり、次のポイントへ向かった。
そこは去年も解禁直後にライズしていたところだが、なにしろ魚が小さかった。 あまり期待はせずに向かった。 それにしても、先週もそうだったが、この日も釣り人がいない。 どうやらアベノミクスの効果はアングラーにまではまだ届いていないようだ。 期待のポイントだったが、ここでもハッチは見られなかった。
そして、そいつは手の中に。
例によってよたよたと歩く解禁後の渓。
スッと白い残像がよぎった。
「!」 合わせたが空振り。出たな。まずまずのサイズだ。 すぐにパラシュートをCDCダンに結び変えた。 もう一度キャスト。同じレーン、どんぴしゃり。出ない。 またフライを変える。半沈みのパターン。出ない。 今度はCDCスペント。出た! 空振り。うむむ〜。 そのあとはいくつかフライを変えたが出てこなくなった。
川原に腰をおろして水面を凝視した。なにが見える訳でもないのにと思いながら見ていると、ん?
ライズではないが、なんだ? なんだろう? よくわからない。 ライズじゃないんだけど、・・・これは、・・・ライズか!? 僕はあわてて結んでいた#12パラシュートを切り、#14のCDCダンを結ぼうとした。 いやまて、しばし考え、#16のCDCダンに替えようとし、更にもう少し考え、結局#18に付け替えた。 ![]() ![]() ![]() ![]()
それにしても暑い。・・・暑い? そう暑い。Tシャツに長袖のインナーにフリースにカッパ。迷わずフリースは脱いだ。
この日は四月上旬並みということだが、どう見てもそんなもんじゃない。風がないからよけいに陽射しの直撃が影響してくる。 ただこんなに良い天気なのに花粉症は爆発していない。これも風がないからかもしれなかった。あとはハッチが始まれば・・・。 ライズを期待できそうなプールに辿り着いた。去年だったか、鴨が泳いでいて撃沈だった場所だが、今回は鴨はいないようだ。 ライズがないのなら、一投目を一番いいところに投げる。そう決めていた。 そしてライズはどうやらなさそうだ。僕は決めておいた通りにキャスト。後ろのアシにひっかかる。外してもう一度キャスト。 また引っ掛かる。なにをやっているんだ、まったく。もう一度キャスト。今度は前へ。当たり前だ。 落ちたフライにすぐに魚体がかぶさった。 ![]() ![]() ![]() ![]()
春を先取り。そしたら夏が来るのも早まるのかなあ(^_^;
水面をついばむようなそれは、いや間違いなくライズだ。
一投目、投げ過ぎた! ライズポイントの奥に落ちたフライの手前でライズ! その更に手前でハッチ! 羽化したカゲロウを魚が追いかけているのか? もう少し早く投げていさえすれば。 見ているとそのカゲロウは弱々しくではあるが飛び立った。 そのあとを追うようにフライが流れてきた。 そしてついばむような・・・。 僕は背中がじっとり汗ばむのを感じていた。 |