其ノ二百七十九  水辺の近況  寒波に向かって
わき水は健在だった。頼もしき山の力。
市内の喫茶店で時間をつぶすこと1時間。そろそろ頃合いかな、と僕は店を出た。
雪が降る事はわかっていたのでスキー、スノボの北上ラッシュの時間を避けてから向かう事にしたのだ。
さてさて、今いったい北部はどんなことになっているんだ?
この冬、スタッドレスタイヤをはいてから初めての雪道走行でもある。
ん〜、でも去年は結局一回しか雪道走らなかったなあ。
水面以外は白一色。芽吹きの季節まで華やかな色はおあずけ。
例によって雪が降っていると静かだった。雪が音を吸収している。車が通らなければあとは川の水の流れる音しか聴こえない。
川の中のあまごにとっては陸上の音なんて関係ないことだが、陸上がこんなにひそやかなのはあまごにも伝わっているのではないだろうか。
もちろんその逆の、解禁になったあとの騒々しさも気付くだろう。その結果、あまごは手強い相手に変貌するのだ。
高速を降りるとすぐにこんな景色に。
高速も冬タイヤ規制。インターチェンジを降りると雪がかなり降っていた。
ほんのちょっと前に降り始めたようで、みるみる道路も白くなっていく。
川の視察といってもこれじゃ雪を見に来たようなものだが、雪の先には間違いなく春があるのだから、雪を見るのは解禁の釣りをイメージすることに通づるものがある(たぶん)。
今年は今のところ積雪量は少なめで、北部の一番多いところでも50cm弱。だがこの日の降りようは積雪が一気に増えることになりそうな勢いがあった。
峠にさしかかる手前の川を見ようと車を停めたが、ぼとぼとと落ちてくる雪は川までも埋め尽くさんばかりの降り方だった。この雪が今年の良い釣りにつながるのかどうか。でも当たり前に冬は冬らしくあるのが一番なはずだ。
そういう意味では雪は歓迎すべきもので、しっかり降ってくれるほうが頼もしく思える。
こんなに降っている時には外を歩く人もいない。川を泳ぎ回るあまごだっていない。
おとなしく隠れ家に身を潜めているにちがいない。
僕もそうしていればいいものをなにを好きこのんで雪のあるところに出掛けてきたのか?
釣りをしないときの川の様子も見てみたい。どうしてもそう思ったのだ。
僕は雪を払い落とし車に乗り込み、峠へ向かった。
(来週につづくσ(^_^;))
全てを包み込む雪。これがないと釣りも始まらない。