其ノ二百七十八  幾多を巻いてゆく
フェザントテールはニンフだけではもったいない。
なんだか今年は気持ちが急いている。
すでに解禁はしっかり意識しているし、ここ数年は海フライを巻くのがこの時期の常だったのに、今年はもう渓流のフライを何本か巻いた。これは快挙だ!

今の時期に巻くのはどうしても解禁直後に使うことを想定したものになる。それはやっぱり・・・パラシュートかなあ。
まだまだ研究の余地はあるが、量産体制にはいるか。
果たして解禁直後の川で釣果を左右するのはフライパターンなのか?
それ以外のことの方が影響は大きい気もするが、それはそれで片づけなければならない。その上で自信を持ってキャストできるフライがあれば言うことないではないか。
今年はいつものフライボックスとはちょっと違うゾ、と僕は自分の中の昂ぶりを感じながら次のフックをバイスにはさんだ。
ハックルセパレーター。フライをよりパワーアップする?
ハックルのファイバーをパラパラにする、と説明書きにある。コックハックルにはあまり必要はなさそうだが、ヘンハックルやほかの羽根をハックルとして巻く場合、良い効果が得られそうな気がする。
早速ヘンハックルでパラシュートを巻く。ボディにはせんだってボディ材をあれこれ試した時のポッサムにしてみた。しかしポッサムだけではかなり色が明るかった。そこでヘアーズマスクから色の濃そうなアンダーファーを切り取りブレンドした。適度にガードヘアも混じりいい感じになってきた。
ハックルもぱらり加減がカゲロウのはかなさを表現しているように感じる。
過去に巻いてきたものにはない工夫を、ハックルとボディにこらした一本が巻き上がった。
ふらりと釣り具屋に寄ってみた。この日は全国男子駅伝大会があるので、あまりゆっくりしていたら交通規制が始まり、コースになっているこの釣り具屋近辺から出られなくなってしまう。
そういや年が明けて初めて来たんだった。手早く新入荷のものをチェック。ハックルセパレーターなるものがあったので買って帰ることにした。
パラシュートにスレるというのを聞く事があるが、解禁当初からスレてはいないんじゃないか、というのもある。
それになによりパラシュートはタイイングの自由度が高い。ハックルの下側には何を持ってこようが巻く人の自由なのだから。まずはフェザントテールをパラシュートに。水面直下のフェザントテールの効果は言わずと知れたもの。それをよりドライ側にアレンジしてみる。
これは釣れるのではないか? 量産体制に入らねばなるまいて。こういう硬質なシルエットのパラシュートはあまり巻いてこなかったが、フライボックスの必須のパターンになるような気がしてきた。