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その人に声をかけられたのは二度目だ。前回と同じく僕の背後ぎりぎりに近づくまで全く気が付かなかった。
「こんにちは〜」と言われ、驚いた拍子にこけそうになった。 遊漁証を見せ、前回会った日付を言うと、手帳の記録を見てその監視員の人は納得した。 それにしても川の音がするとは言え、全く気配を感じさせないとは。やはりただ者ではない。 この日とここ数日の状況を僕に伝えるとその人は来た流れを戻っていった。
アマゴが〜・・・水泡でみ、見えん(>_<)
この日の川の水系の遊漁券を買ったのは十年ぶりくらいだった。
去年くらいから釣行先に行き詰まりを感じていたので、打開策のひとつとして新たな釣り場の開拓を考えた。 この水系は今シーズン二度目で一度目の時もこの日と同じ監視員のおじさんが声をかけてきていた。 水面に変化を起こさずに捕食する。やっぱりだ。水面直下の浮遊物を偏食しているのだ。 半沈みのパラシュートは正解のようだった。
この川はアマゴを幅広に育てる素養があるようだ。
ここぞというポイントでアマゴが出てきた。前回の生命反応の感じられない釣りとは大違いだ。
ただフッキングしないことも多い。虫が飛び始めたらまた状況が変わるかもしれない。 この水系は以前はいくつかの川を巡ったことはあったが、この日の川は初めて入った。どんなふうかわからないまま、入渓地点は勘で決めた。全く入った事のない流れというのは最近なかったから、なんだかすごく新鮮な気持ちになっていた。
周辺の川の情報や季節とともにどの川が良いかを教えてくれた。
こんなこと、いつもの水系では経験がなかった。もしかして行き詰まりは打開できたのだろうか。 おばさんオススメの淵に向かった。先ほどとはうって変わってカワゲラが盛んに飛び交っていた。 カワゲラならここもカディスでイケるはず。 川に降りキャスティングを始めると、道路を大型のトラックが通った。(まさか朝の・・・。) 僕は不慣れな川の出来事を少しだけ反芻して、またカディスをキャストした。
わっと無数の虫が飛び立った。
石の上にわらわらとトビケラが止まっていたのだ。 それならばと、フライをカディスに変えてみた。カディスを使うのは今シーズンになって初めてだ。 しばらく釣り上がるとだんだん反応が良くなってきた。 いると思ったポイントではほぼ出てくる。そしてフッキングも外さない。 フライが良かったか、捕食の時間帯に入ったのか。 ただ、体高はあるが全長のサイズがもうひとつだった。
白のアクセントがおしゃれなトビケラ(飛螻蛄)。
そして、稜線に日は沈んだ。
なにかと不慣れな川。コケないように気をつけます。
朝、川に着いて釣り支度をしている時、重機を積んだ大型トラックが停まり、運転手の人が道を聞いてきた。
行き先はこのまま進めば確かに行く事は出来る。だがこの先の細くなる道をこの大型車両が果たして通れるのかどうか? 僕はiPhoneで地図を確認したがこのまま行く以外のルートはあまりにも大回りだった。 「行けるところまで行ってみる」と言い、その人は発進した。僕はここまで来るのにもかなりの細い道だから、行けるとは思うとだけ伝えた。このあたりに不慣れなため、的確な助言ができなかった。いつも行き慣れている川のエリアではこんなことはまずなかった。でもこれは釣り場選定の行き詰まり打開を予兆させる(?)出来事なのではないかと思った。
トビケラは絶え間なく飛び交っていた。しかし目に付くライズがある訳ではなかった。
入渓してから数時間、ずいぶん遡ったが、川から上がる事が出来ない。両岸は濃密なブッシュか高低差のある護岸が続いていた。 でもそんな場所だからか、アマゴは濃かった。時折良いサイズが出たがフッキングにまでは至らなかった。 釣ったアマゴの数も越えた堰堤の数もわからなくなった頃、ようやく川沿いの道路に上がれそうな場所に行き着いた。
堰堤をいくつ越えたか? もう忘れちゃった。
車の所まで歩く道すがら、同じ方向に歩く地元のおばさんと一緒になった。
「橋の下の淵におさかながおるんじゃないの?」 「そうですね! 車に戻ってから行ってみます」 「今年は雪が少なかったわよ」 「そうなんですね。でも今年は季節が行ったり来たりで調子狂いますよね」などと、たわいもない話しをしながら車に戻った。 車のかたわらで昼食を取っていると、また例の監視員の人がやってきた。
羽化途上のカワゲラ(川螻蛄)
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羽化、そして無事に成人しました(^_^;
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アマゴさ〜ん、もっと大きくなったらまた会おう( ´ー`)y-~~
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