何年かの周期でその年の解禁が土曜日に当たる。
さすがに釣り人の多さは予想出来るが、相手は釣り人じゃあなくってヤマメなんだから、そこんとこ履き違えないようにね、自分!
しかしだいぶ出発が遅れてしまった。ようやく目的の支流に着き合流点から上流に向かって車を走らせる間、ここぞという場所にはすでに車が停まっていた。
ヤマメが相手とはいっても、相対する場所に辿り着かなければ話にならない。僕はまだ靴を履くまでに至っていなかったのだ。
季節の狭間でなにやらよろけながらこんがらがっております。
この川にこんなに釣り人の車が停まっているのはひょっとしたら初めて見るかも知れない。
解禁だし土曜日なんだし。でもそれだけじゃ人は集まらない。みんな今年は釣りに対してやる気になっているんだなあ。それは決して悪い事ではないように思えた。
それにしても自分が入る場所が決まらない。かなり上流域まで来てしまっていたので、Uターンすることにした。
下流に向かうと対向車が上がってくる。これまた釣り人の車だ。なんだかえらい事になってきてるな〜。
増水気味だけど、なんとか釣りにはなる。たぶん。
二月の南岸低気圧がもたらした大雪は、こちらの地方ではなんとか大きい被害は出ずにすんだ。しかし積雪はかなりあったので、解禁後はしばらく釣りにならないだろうと読んでいた。
ところが二月の月末、一気に暖かくなってきた。僕は解禁の一週間前に島へ釣りに行ったのだが、その時は晴れてはいたが風は冷たく冬の様相だった。その数日後、PM2.5とおぼしき霞みに空は覆われ、花粉も飛び始めた。その時が季節の分岐点だったような気がする。
そしてこの日、雲と霞みで陽射しは隠されてはいるがずいぶんと暖かかった。と言うより暑い。こりゃ着すぎだ。僕はあわてて中のフリースを脱いだ。
このサイズばかり。苦戦しそうだ。
2014 釣乃記
第壱話  春風と渓の迷子たち 前編
サイズになかなか満足できないのは釣り人の性だが、解禁の厳しい条件の中で釣ったのだからもっと喜べばいいのに喜べない。
なんだか次のポイントへ向かう気力もない。雲って霞んで汗かいて、変な天気に参ってしまったのだろうか?
いや? どうも違うようだった。
僕はお腹が空いていたのだ。空腹で力が入らないのだ。
良い時間は川に居たいから食事は後回しになる。おにぎりでも持ってきておけば良かった。
とにかく昼食を取る事にした。準備を始めると暖かい風が吹いてコンロの火を揺らした。
車に戻り移動した。またほかの釣り人の車とすれ違う。
川沿いに停まる車も変わらず多いがよく見るとどうやら入れ替わっているようだ。
良さそうなポイントはきっと釣り人が一巡二巡しているに違いない。
なんとか別の区間に入った。ここも虫がちらほら飛んでいる。そこでも数匹ドライで出た。最初と同サイズ。
こんなものか。なんだか解禁の特別な日、という感慨とかはあまり感じなくなった。
ようやく入渓。
水は・・、やや増水気味だった。しかし雪代が流れ込んでいるような冷たさではなかった。
虫は・・、飛んでいる。小さいユスリカかなにか。
空模様とはずいぶんギャップがあるが、これは釣れる! と僕は踏んだ。

三投目にきた。ドライフライ。放流したばかり(?)とおぼしきチビヤマメ。でも一応初物。
水位は高くてもフラットでゆるい流れ。また出た。活性は高い。
あとはサイズだな。
寒々としているようでしていない。川の中はどうなっているんだ?
PM15:00 ランチ開始。さて、第2ラウンドは?