其ノ三百十二  春を告げる魚たちの島
あの島へ向かって。果たして今日の釣りは??
ソチオリンピックで、気になる選手の競技は夜中起きで見ていた。睡眠を寸断し削っての日々が続いていたが、女子フィギアフリーを見終わってひと息ついた。
久々にぐっすり寝た翌日、すごく体が軽い。ちゃんと寝るとこんなにも元気になると改めて知った。
よし、それじゃあ釣りに行こう! と、そんな運びになった。

前回、晴天無風で全く釣りにならなかったことが頭に引っ掛かっていた。
大雪の週末が二週続いたが、今回は気持ちよく晴れた。気温も上がりそうだ。だが風はけっこう吹いていた。そして冷たい。
目的の島には9時到着。干潮をすごし過ぎたくらいだった。港は一番長い防波堤には先行者が数人いた。僕は別の短い防波堤の方でやってみることにした。
短い防波堤の横には高架になった道路がある。その下は毎回必ず釣れるポイントだった。まずはそこへ。すると見慣れないブイが浮いているのが見えた。網がしかけられていた。
いつもの港。どの防波堤がこの日の当たりポイントか?
まだ昼前、もういっちょ釣ってやろうか。
好ポイントだったのに。こんなところに網を仕掛けなくてもと思ったが仕方がない。
短い防波堤へ移動。風は強まっていた。真向かいには長い防波堤と釣り人が見える。釣れてはいないようだった。
頭上の電線を気にしつつキャスト。潮位は少しあがってきているようだった。
ほぼ真向かい風でサイドキャストするからほとんど飛ばない。
足元に落ちたラインが急にススッと引き込まれた。
漁村を歩く。静かなのはいつもと同じ。
「!」無数の魚影、小さいがメバルだった。なんで今まで気が付かなかったのか? それとも今現れたばかりなのか?
つけているのはソルトウォーターヘロン。前回さっぱりだったパターンだが、これを投げる。
一投目、いきなり一荷できた。二匹分の重さがロッドを曲げた。
メバルの群れは防波堤の陰と日なたの境目にいるようだった。高架ポイントに網が仕掛けられたのでこぞってこちらに移動してきたのかも知れない。
まさか? と思った。半信半疑でリトリーブするが反応なし。
「釣れますか〜?」と漁村のおばあちゃんが声をかけてきた。「はあ、ちっちゃいのが」・・あ、ウソついちゃった。
冷たい風は止まないがここまでじゃなくてもいいのに、というくらいに晴れてきた。風で冷やされるのと陽射しで暖まるのとが混ざったような変な感じだ。
しかしこれほど晴れるとやはり昼間の釣りは不利だという気がする。二月とはいえしっかりした陽射しはメバルの警戒心をあおるに違いない。
見るとはなしに足元を見ると、陽射しが水中まで射し込み、たくさんの遊泳物が漂っているのが目に止まった。
フライを追い食いつくメバルが見える。ヘロンの効力はかなりのものだった。
しかし次第にヒットしないままピックアップする回数が増えてきた。去年の連続ヒットの時よりも早くスレたのか?
とうとう全く反応しなくなってしまった。魚影は同じようにふんだんに見えるのに。
急にパタッと風が止んだ。陽射しの暖かさが強まり、島全体が一気に春めいたように感じた。
ガツンっと忘れていたアタリがきた。こうでなくっちゃ。
このオフシーズン、ずいぶんとお付き合いいただきました。
ソルトウォーターヘロン、ダブルで活躍!
メバルにもいろいろある。今日のご気分は?
犬と散歩の港のおばあちゃん。
けったいな釣りしててスミマセン(^_^;
連続ヒットが始まった。よもやこの日こんなふうになるとは思いもしなかった。
サイズはまだ小さい。おばあちゃんに言ったことは後追いでウソじゃないことにできた。

この日はリードフライよりもドロッパーのヒット率が高い。何度か一荷できてもリードフライの方が外れたりした。
こうやって表層のメバルが釣れるのは楽しいが、だんだん欲が出てサイズが不満になってくる。