2018 釣乃記
第壱話  まだ春の来ない渓
思ったほどじゃなかった。車から見える範囲でも本流の水は大増水大濁り、というようなことはなかった。
薄日の射す天気、風もなくおだやかだがやや寒い。それでも小さな虫が飛んでいる。
まさかライズはないだろうから、ニンフを結んで投げたらなにか起こるかも知れない。
フライのウェブサイトで見たニンフをトレーラーで結んで二つ使うやり方を試してみた。初の試みだ。
例年になくニンフを(しかもトレーラーで)積極的に不安なく使っている。今までは水中のフライがどうなっているか、その不確かさが使い続ける自信をなくさせていた。
それがそう思わなくなったのはメバルを釣るようになった事が影響しているのは間違いない。

Nさんが一匹釣ったポイントに居るはずのもう一匹。僕はそこへ向かった。そしてドライフライに確かにその魚は出た。
姿は次の釣行で、きっと。
いつもの山はいつものように雪をかぶって・・・。
もぐもぐタイムの途中、道路を通過するW氏の車が見えた。去年の解禁後もかなり見かけたが、だいたい同じパターンになる予想はついていた。昼食後、移動するとすぐにW氏の車を見つけた。同行しているNさんがひとりで車の脇でキャスティングしていた。聞くと、W氏は川に降りているようだ。Nさんは早々とヤマメを釣っていた。しかもドライで。一匹釣ったあと、もう一匹出たが、掛からなかったらしい。
Nさんとひとしきり話しをしたが、W氏がすぐには戻ってきそうにないので、僕は移動する事にした。Nさんがドライで釣ったのならイケるかも知れない。僕は去年もライズを見たことのあるプールでドライフライを試す気になっていた。
渓流もぐもぐタイムは焼き鳥ちゃんこめしになまはげラーメン。
週の半ばにまとまった雨が降っていた。今年の渓流の解禁最初の週末に黄信号。天気も崩れる予報だったから、二週目から始めるのもありかと思っていた。
しかし雨の予報はなくなり、最高気温も15度までいくという。それならということで、出掛けてきた。
本流のポイントを二ヶ所まわり、トレーラーニンフを投じるが全く釣れる気がしない。
時間が経てば状況も変わるかもと思い、早めの昼食をとることにした。
どこへ行ってもなにを投げてもダメな時ってあるな〜。
橋から川をのぞくのは、もはや条件反射?(^^;)
MKさんだった。数年前に川で知り合ってから、シーズン中はたびたび出会うようになった。数日泊まり込んでの釣行。ほぼニンフで釣っていると言う。うむ、はやりニンフか。
MKさんと別れてから、次のポイント。僕はまたドライからニンフへ結び変えた。もちろんトレーラーで。
数投していくうちに何度かマーカーに微かに反応があった。そしてついにマーカーがどっぷりと沈み込んだ。合わすと重い!
これはやったと、急いでラインを手繰ると、なんとカワムツだった。で、でかい。ニンフはひとつめの方をくわえていた。デカカワムツを引きずり出すほどの効果がトレーラーシステムにはあるのかも知れない。
目当てのポイント、本流よりも支流の方が増水の影響が顕著にわかる。
川通しに歩く事はできそうにないから、岸から投げられるところだけを攻めてみた。
しかしこの季節にドライフライを流すには水深がありすぎる気がした。先程Nさんと会った場所はまだ浅い区間だったからドライが効いたのかもしれない。
数投してその場を離れた。もう少し下流へ移動、車を停めると通りかかった車から声をかけられた。
トレーラーニンフで釣ったカワムツ様。魚が見えるまでドキドキした(^^;)
また移動しているとW氏の車が通りかかった。かなりの良型ヤマメを釣ったと言う。
おめでとうを言いながらも口惜しさひとしきり。
そして僕は次のポイントへ。もうドライか、ニンフか、わからなくなってきた。

しかし、今年のこの解禁後初釣行、なんとなくいつもの緊張感と言うか半年振りの感慨みたいなものが感じられない。
まあ、禁漁後も新年過ぎてからも、あれだけ海に釣りに行っていれば、新鮮さもなくなるか。