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其ノ四百三十 まだ春の遠い島 | ||||||||||||||||||||||||
海水が冷たいのではない。濡れた指に風が当たり、熱を奪われてかじかむんだ。 時すでに遅し、もはや痛いくらいの指先は感覚を失っていた。 グローブはしているが、人さし指と中指はフィンガーレスで、指が露出している。ずいぶん昔に買ったやつで、荷物を整理していたら出てきた。せっかくだからこの冬は使っていたが、フィンガーレスはいかん。 |
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おそらくこの冬一番の低温。その日の釣りは・・・? | ||||||||||||||||||||||||
朝は -2度、車を発進させるまでがしんどい。動き出してしまえばあとは行くだけだ。 出発の時間帯が満潮だから、島藤着時はぎりぎり下げの潮流が残っていた。 しかしまだ寒い。陽射しはあっても風もあり、リトリーブで濡れた指先はかじかんだ。 小さいメバルを数匹釣って、あとから来た釣り人と言葉を交わし、すぐに諦めて帰る釣り人を見送り、そして干潮になった。 腹減ったな、飯にするか。 |
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ダブルカップ、ダブル炭水化物で熱量注入っ!。 | ||||||||||||||||||||||||
島のいつものランチ会場で昼飯を食べていると、地元の人がやってきてみかんを食べながら「今日は暖かですね〜」と話しかけてこられた。実際、午前中の下げ潮の釣りは風があったが、今は止んでいる。陽射しも暖かで、朝の低温がウソのようだ。 これから上げ潮が始まるまで2時間はある。七つの橋の島、朝は三番目の島だったから午後は四番目の島の中央の港でやってみる予定だ。若潮で潮位差はあまりない。メバルたちにどれくらいの動きがあるのか、午後の冷え込みはどうか? 条件はきびしめな気がしていた。 |
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四番目の島の中央港はさすがに誰もいなかった。そろそろ潮が上がり始める頃だが、それでも潮位は低い。 上げ七分が夕まづめ、満潮は日没後だ。その前には釣り人はやって来るだろうから、先に釣っておきたいのだが。 いったん釣り場に着いてしまうと、まだ待った方がいいとわかっていてもロッドを振ってしまう。もちろん反応なし。海面を見ても魚の気配が全くしない。 |
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一瞬の群れの回遊のアジ様。 | ||||||||||||||||||||||||
今年になって四回目の島釣行、そのうち三回がこの七つの橋の島。相変わらずの変わり映えのしない釣行だ。今年の初釣りで、小型メバル相手のライトウェイトの釣りも卒業する時期がきた、なんて思ってたのに、そうでもない。 ただ毎回新たな工夫はしてみるように心がけている。今回は低温と若潮という悪条件で今までのメソッドが通用するかどうか? というのがテーマだ。四番目の島に来て、寒さは朝ほどではないが、これから冷えてきそうな気配だ。ゆるく流れる潮は若潮の特徴なのだろうか? それにしても去年までは糸結びの難しさを嫌ってグローブはつけていなかったと記憶している。全くの素手で平気でリトリーブできていたことを考えると、今年の寒さはソルトを初めて一番かもしれない。とてもじゃないが素手でフライラインは持てる気がしない。 |
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「フライで釣ってるんですか?」きたきた、恒例になったギャラリーさん。防波堤上段に上がってすぐ近くまで寄ってきてあれこれ聞きまくる。こういう人はちょっと相手をしたくない。ここのところのギャラリーさんはみんな感じが良くて、マナーも心得ていた人ばかりだったのに。 なんとかその人をやり過ごしたすぐあとに「毎週何を釣っとるん?」と話しかけられた。防波堤近くに住んでいる釣り師の方だった。 |
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夕まづめのメタボメバル様(^^;) | ||||||||||||||||||||||||
カモメが海面で魚をとらえ飛び去った。 (きたなっ!)僕はみるみる生気を帯びる海にフライをキャストした。すぐに数匹のメバル、そして群れで入ってきたアジがヒット。 「アジ入ってきたね」と防波堤近くの住人釣り師が言い、僕は笑顔で頷いた。 これで最後、と決めた一投で力強い引きのメバル、そして日は沈み一気に冷えてきた。春が少し遠のいた気がした。 |
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日没、気温がまた氷点下になる前に帰ろう〜(^O^:) | ||||||||||||||||||||||||