2018 釣乃記
第伍話  初夏と新緑への脱出
片道150Kmならきっとたいしたことないのだろうけど、僕としてはなかなかの遠出感がある。
町の生活から一転、山村を流れる里川へ向かうのは、ヤマメを釣るだけが目的ではなく、日常からの離脱感を味わいたがっているからだと以前から思っていた。

僕は今季はちょっと西の川へ向かう回数が抑えられ気味だが、ようやく山も新緑の季節を迎えて来ている。
芽吹きの季節、到来です(^^;)
二週間振りになる釣行。ライズの期待のポイントを巡るが、どうやら少し時期を逃してしまったようだ。どのポイントも沈黙したままだった。
時間が経つにつれ、日は頭上に差しかかり、日当たりのいいポイントはとてもじゃないが釣れることはあり得ないように見える。
更に上流の細流に行くか、夕方を待つか。まあとりあえずは昼ご飯を食べることにした。
ようやく落ち着き、今さらだが周りの山の新緑に気が付いた。
下流域。開けた場所ではやはりきびしかった(>_<)
新緑が川を狭めて来つつある。
キャストし、フライが着水する直前、魚体が水面から飛び出した。僕はあわててロッドをあおり、見事に合わせ切れした。
またやってしまった。去年もこういうことが何度かあった。
気を取り直しフライを結び直してキャスト。スッとフライが消えた。合わすと重いっ!
水中でうねる魚体を見てゴギだとわかった。最初の合わせ切れはおそらくヤマメ?
早くも細流でゴギを釣る季節になったか。まだヤマメもろくに釣っていないのに。うれしさの反面、複雑な気持ちもあった。
小さめの流れだが、水量はまあまあある。少し幅のある場所の一投目、落ちたフライの上流側からヤマメが突進してくるのが見えた。

ドドドと音が響いた。バイクの隊列が道路を進む。GWならでわだな〜っと思ったら、バイクは白バイだった。
いずれにしても釣り人は少ないが、それ以外では川沿いの道路は賑やかだ。
その道路から隠れるように流れる細流。ここに有望ポイントがある。
今季初ゴギ。去年よりは早くに釣れました。
ゴギを釣ったあと、少し陽も傾き始めたので、今度は下流域に入ってみた。
しかし反応は薄い。何度か良型が出たが掛からない。一度良い手応えが返ってきたが、バラしてしまった。

昼飯後のフライに突進してきたヤマメ。あいつのお陰でこの日の釣りは着地できた気がする。
また150Km走って家に帰る。初夏の暑さと新緑の離脱感は、そのうち味わいに来れるから。
数年ぶりにラショウモンカズラ発見。
新緑のまさにピーク。徐々に暑くなる。
うむ、マッチしているな(^^;)
GW前半だが、いつものもぐもぐタイム場所のキャンプ場はログハウスにひと組家族連れがいるだけで、ひっそりしていた。
食べてベンチで横になったら、思いがけずしっかりと眠ってしまった。
眠っている間に風が吹き、何度か目が覚め、それでもまた眠った。よくこれだけ眠れたな。きっとこういう外で風と緑に包まれて眠るのは、家で夜に眠るのとは異質の行為なんだろう。少しスッキリした。よし、午後の部、がんばるか。
強い日差しを避けて上流部へ向かう事にした。木々の枝葉が伸びてくれば、フライロッドは振れなくなる流れを、ぎりぎり今のうちにやっておく。おそらく今季最初で最後。