其ノ四百三十四  危機的ニャンコ先生の島 −九−
こればっかりは行ってみないとわからない。川でも島でもそれは同じ。
きっと川に行っていたら、やっぱり島に行けばよかった、と思ったに違いない。
しかしこの日は島に来たのだから、考える事はその逆、この快晴の天気なら、川が少々増水していてもなんとかなったんじゃないか? という気がしてならない。
そして海にはやはり魚影は一切見当たらなかった。
島には春が。しかし危機的釣りは続く。
メバルは産卵後の回復はまだ先のようだった。
facebookで快釣している人がいたから、そろそろ良いのではないかというのと、川が増水しているだろうという、ふたつの条件がそろっての島釣行の判断だった。
三月に、しかも渓流解禁後二週目にして島へ来たのは初めてのことだ。
川のよくなる頃にはきっとメバルも回復しているだろう。
さて、どうするか?
釣行もぐもぐタイム。最近カップものが多いな。
いつもの七つの橋の島、四番目の中央港。小潮なので穏やかな海面、見事に魚の気配がない。
防波堤に一番近い家に若い人たちがたくさんやってきた。空き家を使った合宿? 研修? よくわからないが、その人たちがこぞって防波堤にやってきて釣りを始めた。かなり賑やかだ。どのみち釣れそうもないし、僕は早々に退散した。
すぐ近くの小さな入り江のフラットでチヌの魚影を見つけた。そーっと降りて近づきキャスト。スッと逃げて行った。やっぱりな。そうやすやすと釣れてはくれないか。チヌは次々と現れた。逃げないヤツもいたが、だからと言ってフライに食いつくわけでもない。
こうなったら三番目の島で夕まづめ、といういつもの切り札に頼るしかなさそうだ。
もぐもぐタイムを終え、三番目の島に渡った。
日没まではまだ二時間以上ある。少しロッドを振ってみるが、四番目の島同様まったく釣れそうにない。
平昌オリンピックの女子カーリングの三位決定戦があった時は、18:11 にメバルを釣った。あれから二週間、日没はさらに遅くなっているはず。
防波堤を行ったり来たりしてくたびれたので、僕は灯台の下に座り込んだ。
三番目の島で、最後のあがきスタート!(^^;)
果たして川はどうだろう? はやり解禁二週目に島に来るのは無理があっただろうか。気持ちはまだ釣っていないヤマメに向いてしまう。メバルが快調に釣れればそうでもないだろうけど、釣れていないから余計にヤマメが気になってしまう。
そんな事を考えていると眠たくなってきて、数分うとうとした。
目が覚めると島ニャンコ先生の姿が見えた。
「猫缶をここに置くにゃっ!」と、島ニャンコ先生(^^;)
島ニャンコ先生としばし戯れて、少し寝たせいもあってか俄然やる気が出てきた。
にゃあとニャンコ先生に背中を押され、僕は防波堤へ戻った。もうじき陽が島の山側に隠れる。うっすら暗くなってきてから僕はキャスティングを始めた。数投後、ぐぐんと久しぶりの手応え。まづめ狙いが的中した。
ホントに忘れかけていたメバル様が釣れた。地合いがやってきたようだ。数匹釣ってもまだアタリは続いていた。
メバル様、本格復活はまだ先なのですね。
また掛かった。と、勢いよくロッドが曲がった。かなりの型のメバルだ。僕は慎重にやりとりしメバルを浮上させた。と、またグイッと持っていかれた。ようやくメバルが水面に上がった時、プッとフライが外れた。なんとバレた。かなりの型だったのに!
僕は意気消沈でやる気をなくし、短い地合いの過ぎた島をあとにして家路についた。

翌日、昼に食べたお好み焼きがうまかった。食べ物に癒される事もあるんだと思った。
電光石火のこのお好み焼き。美味しく焼けてくれてありがとう(^^;)