2019 釣乃記
第壱話  解禁らしくない解禁
暖冬の影響はふたつ。
ひとつは言うまでもなくスギ花粉の大量飛散だ。
一週間前に島に釣りに行った時に今年初の花粉症発作が起きた。あとから調べたら瀬戸内に飛散する花粉は中国山地からばかりではなく四国からも飛んでくるらしい。
決して南下すれば花粉が少ないという訳ではないとわかった。
北と南から挟み撃ち。もう逃れようがない。

ふたつめが雪が少ないことによる川の渇水だ。
小さいけど、一回目釣行であっさり釣れたの何年ぶりか?
新規に巻いたフライで残ったのはこれだけ(^^;)
9:30 の釣行もぐもぐタイム。腹減り過ぎで早弁、ではありません(^^;)
インターチェンジを降りて川が見えた時、すぐに水位が低いのがわかった。
例年、雪解けの増水が常なのにこれだけ少ないと釣り場のポイントの様子もかなり変わっているのは想像に難くない。
それが釣りに良い方に働くか、はたまたその逆か。

川に着いてまずは早めの(かなり早め)昼飯。例によって一番良い時間は昼ご飯を食べている場合じゃない。現実にそういう状況があればいいんだがなあ。
毎年解禁後最初に入る場所がある。今年も結局あそこかなあと思っていた。そこへ入るために車を停める場所、「!!」車が停まっている! しかも釣り支度をしている人がいる。なんと、解禁一回目の釣行でここを取られたのは初めてじゃないのか?
通過する瞬間、釣り師と目が合った。そう言えば今年の初釣りもいつもの防波堤の場所をことごとく取られてしまった。いつも僕がやっているのを見られて、ここは釣れる場所だと思われたのかも知れない。
この川の場所もいつも僕の車が停まっている。それを見た人が・・・。まあ、考えてもしょうがない。僕は別の期待できそうな場所に行く事にした。
気温は十二度を超えていた。風もほとんどない。花粉はややつらいが我慢できる。ハッチやライズもないが、釣りを阻害する悪条件も少ない。いつもの年の解禁当初とはずいぶんと違う。
数匹の小さいヤマメが出てくれた。狙いは間違ってなかった。
トロッとした流れ、岸際の潅木の下が如何にもなポイント。僕はごくりと唾を飲み、キャストした。
フライをこそぎ取る出方、合わすとグネッと魚体がうねった。

出来過ぎのような解禁。以前海でも考えたが、苦難を乗り越えて手にした一匹とはやはり違う。安定釣果と引き換えにドラマチックな釣り体験はできなくなる。
と、これはないものねだりか。きっと次回からは苦戦するな。
無事W氏と解禁ミーティングができた。やはり今年の水の少なさを危惧しておられた。
川筋に釣り師の車も少ない。寒さがそれほどでもないと予想されるから釣り師が多いと思った僕の予想は、いつもの場所を取られた以外は外れていた。

川を変えるというW氏と別れ、僕は下流域をやってみることにした。水位が低いなら、解禁当初は水が多くて入れないところが入れるということになる。
サビとサクラ色がまざったヤマメ。これだな〜。
何はともあれ、今年も始まりました。
強風も寒風も増水もない解禁。
何度かやったことのある区間、期待薄で入ってみて、少し釣り上がったある溜まりでポコッと出た。あれ? 釣れた?
サビて痩せた魚体は年越しとすぐわかった。あー、釣れたわ。

毎年この川でシーズン初期にはW氏と会う、あるいは車とすれ違う。しかしW氏は車を替えたと聞いていた。車種はわかるが色がわからない。
この日、何度かその車種とすれ違った。ひょっとしてあれか!?
僕はその車を追っかけた。
ぬおー、川まで行きつけん(>▽<)