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其ノ四百六十五 島を取り巻く逡巡 | |||||||||||||||||||||
「フライですか?」 「はい」 「どんなですか?」 「こーんなちっちゃいメバルが釣れました」 僕と同じ車種、CX-3に乗ってこられた親子連れの若いお父さん。なんなんだろう、素直に受け答えするのにためらいがなかった。 ほんの少しのアプローチの違いで、話したいと判断するか話したくないと思うかの差が出る。 それは釣りのプレゼンテーションに似てるかも。 |
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「あっ! でかいのがいるっ!」って、あんまり乗り出さないで(^^;) | |||||||||||||||||||||
いつもの七つの橋の島、実はその一番目の島では釣りをしたことがなかった。 いつも最初の橋の通行券を買う島の手前の釣り具屋で釣り場マップを入手した。一番目の島に割りと大きな漁港があると知り、この日はそこを試してみることにした。 チビメバルが続けて釣れ、若いお父さんと話をし、二月の日中としては前回同様に釣り自体は成立している。過去の二月とはだいぶ違う。 |
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初めての港の初メバル様。これからもよろしく(*^^*) | |||||||||||||||||||||
チビメバルばっかりだったが、一番目の島をあとにして二番目の島へ。思い返すと二番目の島で釣りはしたことはあるが、釣果はまだ0だったはず。 僕は二番目の島の港をやってみた。潮はすでに干潮近く、結局蛇足だった。 その近くの海岸で昼飯、そして車の中で少し眠るつもりでシートを倒した。 一番目の島の釣りは急きょ思いついたもので、この日の本命は三番目の島での夕まづめ狙いだった。 |
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お気に入りのカップめんとカップめし。いずれ在庫は尽きます。 | |||||||||||||||||||||
45度くらいまでしか倒していないのに、えらくぐっすり眠った。1時間くらい寝たんじゃないのか? まだ夕まづめには早いが僕は三番目の島へ向かった。 島に着くとかなり風が強まっていた。この日は最初の釣りの時からほどほどに穏やかで楽にキャスティングが出来ていたがこれから荒れるのか? 「フライですか?」と、この日二度目の質問。その人は以前はソルトのフライをやっていた人だった。 |
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CX-3くん! すやすやタイムだ〜っ!(^o^;) | |||||||||||||||||||||
今はもっぱらルアーだというその人は、七つの橋の島がまだ六つしか橋が掛かっていない頃のこの島の釣りを知っていた。かなりの魚影とアクティブな釣りですごかったらしいが、その環境は今はなくなってしまったと言っていた。 今はルアーとは言え、海のフライフィッシングの経験者と現場で接したことは過去にほとんど経験がない。彼の話しを聞いて、僕の十数年の海の釣りとは別のフライフィッシングが同じ島で存在していたのだと思うと、なんだか意外というか刺激の強いアプローチ、という気がしてきた。決してこの島でフライをやっていたのは僕だけだったのではないのだけど。それにしても以前はこの島はそんなにすごかったのか。 彼はルアーロッド3本を携え、防波堤先端へ向かった。港には次々と新たな釣り人がやってきていた。僕も準備を始めた。もうすぐ日が暮れる。風はますます強く吹いてきた感じだった。 |
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あたりが少し暗くなってきた。去年の実績からして、夕まづめならおそらく良型メバルが釣れる。僕はその保険をかけてこの日 島に来たのだ。 不意に風が止んだ。キャスティングが楽になった。まだ反応はない。 「風が止んで助かります」と荷物を取りに車に向かうルアーの彼に言うと 「潮が止まり始めてるからでしょう」と返してきた。 |
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日没、きっと大丈夫、たぶん。 | |||||||||||||||||||||
そうか、もうすぐ満潮、あまり気にしてなかった。 釣り始める前の時間は潮流があったが、暗くなってから弱まっているのか。潮が完全に止まるまで時間がない。 蓄光素材のフライにありったけライトを照射してキャスト。 ゴツッときた。ようやくきた。昔の島の話しを聞いて尻込みしてる場合じゃないな。 僕はメバルの強い引きをぐっとこらえた。 |
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満潮前のワンチャンス。際どかったです(^^;) | |||||||||||||||||||||