其ノ四百六十六  春の到来と逃亡
一投目でチビメバルがきた。ポイントとしては悪くない。というよりとてもいいのだと思う。
手前に向けて駆け上がりの地形がよく見える。防波堤周辺のどん深のポイントとは明らかに違い、沈み石が点在するその様子は渓流の極上ポイントに共通する。
大型はきっともう少し沖側の急激に深くなったあたりに潜んでいそうだ。
ただそこまで投げるにはバックキャストのスペースが取れなかった。
最近お気に入りのあいみょん 瞬間的シックスセンスを聴きながら、島へ(*^^*)
釣り具屋で知人に教えてもらった近くの島のポイント。良さそうではあるがスペースの関係でフライでは攻めきれない。
普段防波堤で釣りをしているから、バックキャストに不自由することはない。港でない海岸の釣りはポイントがよくても引き下がるしかないジレンマがある。
この島は南側エリアによく行くが、今回の西側エリアはあまり行かないので、回ってみることにした。
日中14度まで達したこの日、まさかアレが来ようとは。
ぐるりと反時計回り、二ヶ所ほど港をやってみたが、ちょうど満潮に差し掛かったせいかひとつの反応もなかった。

異変を感じたのはその頃からだった。少し風が出てきて、鼻がむずむずし始めた。そういやニュースでこの日は花粉が多く飛ぶと言っていた。しかし、島まで来ているんだから、スギ花粉なんて届かないだろうと思っていた。
ヘクショイっ! っと、くしゃみが出た。
この日唯一のまあまあサイズ。いや、まあまあでもないか?
一度発作が始まると一気に爆発した。くしゃみと目のかゆみが止まらない。鼻水もだだ洩れ状態になってきた。
こうなると釣りの集中力もなくなる。渓流解禁後初期のあの悲惨な状況が島で? 僕の記憶ではこれは初めてかも知れない。これもこの冬の暖冬の影響だろうか?
もぐもぐタイムを経て、さてどこへ行こうか。風も強まってきている。日没が干潮なので、それまでになんともうちょっと良い型のメバルを釣りたい。そう強く思うのは、この日が渓流解禁前としては最後の島行きだからだった。
今年の渓流はかなりやる気になっている。去年は少し回数も減り、島へ行く回数が増えた。今年もヤマメシーズン中も良い時期は島へ行くつもりだが、メインは渓流に置く気持ちが強い。
フライの雑誌最新号の小さいフライ特集を見て、渓流で極小フライを常用することを意識したからだった。

隣の島の港に賭けることにした。七つの橋の島の次によく行く所だ。
静かな漁村を歩く。正面の斜面の木々からひょっとして。
もぐもぐタイム、高カロリー化加速中(^^;) 島ニャンコ先生は警戒モード。
着いてすぐは反応がなかったが、陽が傾いてくるにつれ、潮は下がったが徐々にチビメバルが釣れ始めた。
活性が上がっていると感じた時、大型船が接近しているのに気が付いた。まさかこっちに来ないよね? 
と、そのまさかが現実に。ただの防波堤の側面にがっつり接岸した。僕のお気に入りポイントど真正面だ。
僕はくしゃみと目のかゆみに耐え、追い立てられるように島をあとにした。
大型船接岸。こんなことってあんの?(>▽<)