2019 釣乃記
第拾話  期待と気負いの日々 -弐-
(おおお!) なかなかの強い流れだった。岸際なら歩けない事はない。ただポイントは消えていた。
少し進むと普段は浅い小プールが現れた。ここは逆にいい感じの水位になっている。
普段水が少ないところが増水したら、居なかった魚が入ってくるのか? と疑いながらキャストすると、フライが消えた。
合わすと掛かった。たっぷりの水の中を小気味よく引く。
やはりこれ位の水位になれば、釣れない魚も釣れ出すようだ。
水位は以前高いまま、修業のような釣行が続く。
新緑に囲まれてすやすやタイム。いい夢みろよ(^^;)
桜の時以来のいなばのタイカレー。
ポイントの岸側の木の枝葉が伸びていた。サイドキャストでその下側を通し、フライを投げ入れた。出ない。
このポイントは解禁すぐの頃、一度良さそうな出方があって掛からず、それ以後は沈黙したままだった。確か去年はここでは釣れずじまいだった。年々釣れなくなってきているのかも知れないが、この場所は良型ヤマメが育って着く条件が備わっていると言う事もあるはずだ。僕は視点を変えてそのポイントを少し外し、ちょっと上流側へキャストしてみた。バサッと魚体が出た!
(居るじゃないかっ!) 先程の小プールを走り回ったヤマメ以上の重量感がロッドを通して伝わる。
ドキドキしてきた。
前回釣行で合わせ切れをした、一つ目の場所に着いた。
この日、まだ水位が高くてもやってきた理由のひとつに、あの時の口惜しさがあった。
増水すればあのヤマメが釣れるかも知れない。ひょっとしたらまだ僕のフライをくわえたままと言う事も考えられる。
大合わせをしない、そう意識しながらキャスト。少し手前だ。
流しきってもう一度キャスト。出ない。にじり寄ってまたキャスト、出ない。
前回合わせ切れ二匹目のポイント。ここもフラットで、水位が高く逆に好条件になっていた。
(合わせを強くし過ぎるなよ)自分で自分に言い聞かせ、一番いいところへキャスト。祈るような気持ちでフライを目で追った。・・・出ない。

昼寝から目が覚めた時、新緑が視界に入ってきた。
GWだし、一番良い時期で結果も欲しいところだ。だからこんなに新緑が鮮やかになっていると気付かない自分に今ようやく気が付いた。
月曜日にまとまった雨が降り、中一日空けての釣行だった。
まだちょっと多いかなあ、もう一日後がベストだったか? という感じの水位だが、今し方釣れたヤマメのことを考えると、やっぱりこの日が正解だったとも言える。
陽射しはない。これは前回の釣り(GW一回目)の時と同じだった。
今年まだヤマメを釣っていない恒例のライズポイントに着いた。ライズはない。水位は先程釣った場所同様、いい感じになっている。
増水で息を吹き返したヤマメ様。
すっかり新緑に覆われた山里。でもちょっと寒いんだよな〜。
恒例ライズポイントの一匹。口角あがってます(^o^:)
ひと息ついて昼飯をとることにした。
狙いのポイントで釣りは可能だったが、途中の移動はさすがに増水できつかった。
空腹が満たされると途端に眠たくなる。少し肌寒いが横になったらスッと眠ってしまった。

数十秒で目が覚めて、起き上がらずそのまま考えた。
二日前の雨で増水、それが引き始めている状況を期待していたが、ほんの少し早かった。連休で釣行日が自由に決められる分、考えすぎて外す場合もある。
青紫色の花々が目立ち始める季節。