2019 釣乃記
第参話  春のファジーな嵐
スマホが普及しだしてから、天気のアプリも充実してきた。
それは当然のように釣行計画にも影響を及ぼす。雪や雨はもちろん、気温と風速も春先の釣りにはかなり重要な判断材料になる。
そのアプリの情報が必ずしも正解かというと、そうであるかもしれないし違うかもしれない。
結局行ってみないとわからないというのは、情報過多の現代においても変わらないことのひとつだ。
いやもう、ホント、この風、なんとかしてください(>▽<)
陽射しは申し分なし。でもやっぱり浅い春。
入渓後、すぐの良型。びっくりです(^^;)
車から降りるといきなりゴッときた。途中の道中でも木々の揺れが風の強さを知らせていた。
川に立つとその寒々とした気配は、水温を確かめるために手を浸すこともためらわれた。
道路を釣り師が歩いていくのが見えた。この場所はやられたあとかも知れないな。
釣り師らしき車も頻繁に行ったり来たりしている。
土曜日はその前の日に雪が降っていたから、はなから見送った。そして日曜日、いろいろと厳しい条件はそろっている。
誰が見ても一級のポイント。これはダメだな。解禁からこの日まで散々攻められているのは明らかだ。それでもいちおう流してみるが、やっぱり反応はない。そもそもドライフライでは出てこないのではないか? いつもの迷いが始まった。
ウェーダーを通して伝わる水温はかなり低い。水面に捕食のためにヤマメが出てくるとは思えない。いや、それは人の勝手な解釈でしかない。でもカゲロウも翔んでないしな。
えらく川に立ち込んだまま迷った。ようやくニンフを結ぼうと腹を決めた時、スッと陽が射した。こんな荒れた天気の日には、陽射しがあるとホッとする。
すぐにドライにチェンジ。またライズした。そこへキャスト。
・・・反応なし。うむむ。
風が吹き、ぱらぱらと水面にいろんなものが落ちる。そしてまたライズ。
魚は大きくはないがライズは獲りたい。フライを小さくしてキャスト。出ない。
ライズも止まってしまった。

川沿いの道路で車が停まった。僕の釣りを見ている。ステッカーからしてフライマンのようだった。
マーカーが消えた。僕はキョトンとしつつ、条件反射で合わせた。掛かった!
こんな悪条件じゃ外れだな〜っと思っていたが、あっさり釣れてびっくりだ。

またゴッと風が吹いた。もう帰ってもいいかなと思い始めた。まだ川に立って一時間も経っていない。さすがにもうちょっとやってみるか。
少し上流へ移動。するとなんと目の前でライズが起こった。
開けた良い流れなんだけど、とにかく強風 (>▽<)
迷ったあげくのニンフの一匹。
帰り道の道すがら、あれ? 風が止んでるな〜。
行ったり来たりの車。みんなこの荒れた天候の日に迷いながら釣りをしているようだ。
かく言う僕も春の恒例、方針ブレまくりで釣りのテンポは上がらない。
枝がかぶさった攻めにくいポイント。と言う事は竿抜けの可能性がある。ここはニンフでいくと決めた。
一投でマーカーが引き込まれた。力強い引きが伝わってきた。
スマホの気象情報は合っていたが、釣りはそれだけではわからないことばかりだ。
もぐもぐタイムは新製品ラッシュ。