2019 釣乃記
第伍話  桜と風と雪と
やっぱり風は強かった。ここは予報通り。谷に入って風をかわすしかない。
思惑通り上流域の谷あいは風が弱かった。とは言え、それだけ水が冷たいのも避けられない。

この日の釣りの前日、職場の花見があった。その時、数分間だけ風速7mの強風が吹き荒れた。とんでもない花見だったが、それでも大勢で盛り上がったので、これはこれで楽しくて良かった。
五分咲きの山桜。だいたいに午前中は穏やかなんだ。
綺麗な子ヤマメ様。お付き合いありがとうございます。
里の桜も見頃に〜(*^^*)
少し上流域の区間をやろうと移動すると、入ろうとしていた場所に車が停まっていた。普通車だったが、ここに停まっているのは、間違いなく釣り師だろう。僕は更に上流へ向かい、車を降りた。谷あいは期待通り風は弱かった。
まだ入るのには時期的に早いかな、と思うような上流区間。解禁から今まで釣ってきた場所と比べると明らかに細い流れだ。木の枝葉は伸びていないが、それでも川筋を覆うように木々が生えている。引っ掛けないように気をつけてキャスティングしなければ。前日に巻きためたばかりのフライをなくしたくないし。
そして釣り始めてすぐに子ヤマメがドライフライをくわえた。どうやらここは漁協の放流が去れている区間のようだ。
パラパラっとなにか落ちてきた。雨・・じゃない、雪だっ!
今週も降るかね、降るよね。
水面に少しだけ顔をのぞかせた石が見えた。その前側、きっといる。今度こそ。
クロスストリームでキャスト、石の手前でヌッと出た! 合わせは決まり掛かった瞬間、岸際の木の枝にラインが弾かれた。
なんと、またバレた。
ふっと風が吹き、目の前を何かよぎった。それは雪だったかもしれないし、桜の花びらだったかもしれなかった。
流れの右寄りに沈み石が見えた。その前側、きっとヤマメが着いている。
沈み石の1m上流にフライを落とし、できるだけナチュラルに流す。と、思った通りフライに出た。僕はすかさずロッドをあおったが、ティップが上方の木の枝に当たった。
一瞬ひるんでラインがたるんだ?ような気がした。掛かったはずのヤマメは流れに消えた。
狭い川はこれがあるんだよな〜。
この日の釣りに向かう道中、川沿いの桜がかなり咲いていた。川沿いは鉄道も通っていて、各駅の小さなホームにも満開の桜が咲き誇っていた。
しかし、向かった先の釣行エリアは、またしても冬に逆戻りしていた。
強風だけでなく、時折小雨も舞い、気温も水温も低い。こうなると釣りのモチベーションも上がらない。

最初の区間は一度の反応もないまま終わった。
ラストのすず猫様のチャルメラ(*^^*)
少し咲いている桜の木の下のもぐもぐタイム。
子ヤマメ様、寒いのにすみませんねえ。