2019 釣乃記
第四話  弥生の変幻とドライフライ
(あれ? これ? 雪?)
よもやの天気の急変は、確かに予報でも言っていたことだった。しかし、午前中の穏やかな感じからしたら、なんとかもつんじゃないかと思ってしまうのも無理はない。

前回のスマホ情報ではわからないという経験から判断して、期待を抱いてのこの日の釣りだったが、昼を回ってから一気に冬がやってきた。
こりゃあマズイ展開だ。
風もなく、春の気配がようやく・・・、この時は・・。
こんな日はあったかいものが身にしみる。
荒れた天候の中で出てくれたヤマメ様、感謝です(^人^)
本流二ヶ所を回って反応なし。う〜む、条件が悪いな〜。
そもそもこの日は予報では冬に逆戻りだと言っていた。
それでも午前中は風も穏やかで、時折晴れ間も見えていた。これならぼちぼちハッチも始まるだろう。もしかしたら今年初のライズも見れるかも知れない。
しかし実際にはハッチは散発でライズなんて見れやしない。
昼食後、中流域へ入った。雲行きが怪しくなったのはこの頃からだった。
翌日、あっさり目が覚めた。スマホの天気予報(またか)では、釣りのエリアは前日みたいに荒れることはなさそうだ。ああ、行っちゃうんだね、釣りに、と自問自答。
出発はやや遅れ、川到達は10時を過ぎそうだ。しかしハッチとライズを期待したから、釣り始めはそれくらいでも早いくらいだ。そして予定通りの時刻に目当ての川に到着。
釣り支度をしているとその先の流れで餌釣り師が入渓するのが見えた。それでもそこはいい感じの流れだったので、餌釣り師が上流へ進んで見えなくなったあと、少しやってみた。三回出て一匹キャッチできた。
まだ曇っていた。少し肌寒い。小雨も降ったり止んだり。う〜む、前日以上期待未満、と言うところか。
場所を上流域へ移した。誰もがやりそうな王道ポイント。しかしドライフライを浮かべたくなる良い流れがあるので、どうしてもやってみたかった。
沈み石の前側、そこへフライが到達した時、ヌメッと出た。が、空振り。
更に上流へむかう。もう一ヶ所の有望ポイント。スッと陽が射してきた。陽が射すだけで、釣り手の心理も含めて一気に条件が良くなる。
一投目でわさっと出た。掛からない。でかかったか? 
いきなり雨が降り出した。雨足が強い。川にせり出す木の下で雨宿り。でも時間が経つと徐々に濡れてきた。
スマホの雨雲レーダーを見ると(やっぱり当てにする)10分後には雨雲は通過するようだ。
しかし10分以上経っても止まない。それどころか雨は次第にみぞれ混じりに、そしてあられに変わってきた。

すっかり体は冷え、雨あられもようやく止んだ。
辛うじて釣った一匹。春はもう少し先か。
エスケープルート、標準装備(^^)
やや、春らしさが感じられました。
クタッとした、このドライフライが効きました。
冬に逆戻りの渓。
「どうですか〜?」と川沿いの民家の女性が話しかけてきた。
「何匹か釣れました〜。昨日は寒くなりましたよね?」
「そうそう、雪が降ったのよ。季節が行ったり来たりよ」
車に帰る途中のこのやりとりが流れを変えた気がした。
最初のポイント、沈み石でヌメッと出たやつをもう一度。
同じポイントに同じドライフライを同じようにキャスト。沈み石の前側、同じようにヌメッと出た。今度は同じではない、ズシッとロッドに手応えが乗った。
雨あられ、みぞれに強風 。いくらなんでも荒れ過ぎだろ?(>▽<)

最後の逆転劇。ありがとうございます(^人^)