2019 釣乃記
第八話  飛び越した夏日
ライズしたっ! ちょっと様子を見ていたら、だいたいその時に限って、するよな。
僕はそそくさと身支度を整え、ちょうど通りかかられた地元の方にあいさつをした。
「早くからやってですな」
「はあ、どうかな〜?とおもいまして」

土手を降り、流れの筋を読む。かなり大型のカゲロウが翔んだ。フライは小さくする必要はなさそうだ。
いくら広くてもポイントが絞られるのは渓流と同じ。
この体高。ヤマメ様の顔がちっちゃく見えます(*^^*)
この尾ひれ! パワーがある訳だ。
この日の前の日の夜は災害ボランティア仲間との飲み会だった。今年はなにも起きないでほしいね〜と話した。全くそうだ。
とは言え、少しの雨は欲しいところだった。インターチェンジを降りて走っていると国道沿いの川が明らかに減水しているのがわかった。こういう時は本流の方が良いかも知れない。
僕は釣行プランを変更することにした。どっちみち日曜日だし、あろうことか釣行もぐもぐタイムの道具一式忘れてきたし、時間が経つにつれ気温の上昇は予想できたし、きっと夏日になるだろうし。
本流は決して水位が高い訳ではなかったが、高かったらきっと最初に見たライズの場所へは辿り着けなかっただろう。
釣った(釣れた)ヤマメをリリースし、場所を移動した。
まだ川に着いて1時間、9時過ぎだった。
しかし、前日の日中の気温を考えると、この日もかなり暑くなる。本流で釣れるのもあと数時間だろう。早い時間だからと言ってのんびりしていられない。

先々週、久しぶりに尾道へ行った。桜とニャンコ先生を撮るのが目的だった。
ニャンコ先生を撮っていると、思う事がある。
二ヶ所巡り、その次の本流ポイント。一匹目を釣ったダウンクロスのドライを試してみた。
ボソッと小さく反応、合わすとどっしり重い。流れに乗ってどんどん下っていく。
本流に気持ちが向いている時は素直にそっちに向かえばいい。僕は重たいヤマメを引き寄せながらそう思った。

いつの間にか、山々はすっかり新緑のヴェールをまとっていた。なかなか春になりきらないと思っていたのに、一気に季節を飛び越したようだ。
一度見たっきり、ライズはない。いいところを流したつもりだが、フライはきれいに流れきった。
ポイントは本流の支流との合流点。慣れない大場所は、これが正解なのかどうかと、多少戸惑う。
下流へ流しきったフライをピックアップしようとしたら、ドンっときた。掛かっている。本流のダウンのドライで、か。
そこまでのサイズではないが、流れにのってよく引いた。
あれ? 釣れた。釣ったとは言いがたい(^^;)
ヤマメの密度で言うならば、本流は過疎の流れと言えようか?(^^;)
こりゃきっと、車の中は暑いよな〜(^^;
以前は尾道の路地とかを撮るのが好きだったが、ニャンコ先生を撮るようになったら、それ以外の被写体をあまり撮らなくなった。
ニャンコ先生一辺倒もどうかと思うのだが、ニャンコ先生以外は撮っても満足できなくなる。これに似た事が釣りでも言える。
その日の釣りで本流をやり始めると(特に一匹でも釣れたりしたら)その日はなかなか支流の渓流には気持ちが向かなくなる。
大きめと言っても#13のフライです。