2019 釣乃記
第拾弐話  夏日に降り注ぐもの
まっすぐこちらに向かって翔んできた。大型のストーンフライだ。躊躇せず僕のシャツに軟着陸。
GWの頃は大型のカゲロウが目立ったが、この日はカワゲラだった。感覚的にはストーンフライは虫そのものとしても時期的にも、メイフライとテレストリアルの中間という感じがしている。
しかしフライボックスの中は、春先から相変わらずCDCの半沈みのパターンが大半を占めていた。
本流も水位が下がると石の露出が目立ってくる。
最近カレーが多い釣行もぐもぐタイム(*^^*)
オオヤマカワゲラ。存在感は水生昆虫で一番かも。
かなり暑くなってきた。首の後がじりじり焼けているのがわかる。
水位が低いから川原をずいぶん歩いてほかのポイントも探ってみた。しかし反応なし。
もと来た川原を歩く。なかなかのカロリー消費になったのではないだろうか。

動いたら腹が減る。昼飯はこれまた狙っていた場所がある。川沿い、広い河原と大きな木の木陰。昼飯には極上の場所だ。
予想通りの水位だったが、何ヶ所かで本流にしては小さめのヤマメが釣れた。しかし期待していた所では反応はなかった。
すぐに暑くなってきた。この日は最高気温は27度を超えていた。さすがにもう季節の逆行はないだろう。

ツバメが飛び交う流れ、しきりに水面をかすめている。まるでライズしているような。
姿は見えなかったが、水面羽化のカゲロウをツバメは捕食しているようだ。
本流ポイントはかなり減水していた。二週間くらい雨が降っていない。こういう状況だと、本流もポイントを選んで移動する事は可能になる。しかし水位の低さがネックだ。
これが雨で増水すれば、ポイントは俄然生き返る。だがポイント移動が容易ではなくなる。
痛し痒しといったところだ。

GWが終わり、一週間後のこの日、例年なら連休明けはかなり苦戦を強いられるところだが、本流は大丈夫だと思った。
最後の最後にプールを走り回ったヤマメ様。
本流の幅広ヤマメ。ただし全長は短め。
本流筋を上流へ向けて移動した。途中支流との合流点も通過したから、本流筋自体が大きめの支流という感じの流れ。
流れがたっぷりしているのは川幅がせまくなったからかも知れない。その一番良いところへファーストキャスト。
少し陽が傾き、降り注ぐ光が変わっていた。ヌメっというふうに水しぶきは上がらずフライが消えた。合わした途端に水量たっぷりのプールを走り出した。
斜光を浴びた水面に銀色が光った。
羽化直後のロールウィング状態のヒメカワゲラ。
川筋の土手を歩くだけで、じんわり汗が(^^;)
極上のロケーション、極上のすやすやタイム。
結構な荷物を目的地まで運び入れた。昼飯を食べて、そうすると眠たくなるのも自然な流れ。今季初出撃のローチェアに身を沈め目を閉じると、川の流れと木々の風のざわめき、うぐいすの鳴き声だけが聞こえる。
降り注ぐ紫外線は木の枝で遮られている。僕はすぐに眠りに落ちた。

本流で中くらいのヤマメを釣るとまずまず特別感というか満足度はある。しかしサイズがあと少し大きければと、欲もでる。