2019 釣乃記
第拾参話  ライトウェイト・ミドルリバー
フライに魚体がオーバーラップしたように見えた。反射的に合わすと掛かっていた。
この川のこの区間は、降り口はたぶんみんな同じだと思う。そのあとの大場所の一級ポイントはことごとく沈黙。
川に降りてすぐに二匹釣れたのは、明らかに竿抜けのポイントだったことになる。
しかしそのあともていねいに流すと元気よくヤマメが飛び出してきた。
この日は釣りも天気も良い方に予想が外れた形だ。
緑に囲まれて、もぐもぐタイムです、CX-3くん。
瀬を走るスレンダーヤマメ様。
日曜日の天気は風が強めで午後から雨の予報だった。
強風にしろ雨にしろ、先に来る前にいくらか釣っておきたい。

僕はこの日のタックルを、今季初の maekawacraft showma 7フィート#4 で行こうと決めていた。#4はここまで使っていたロッドと同じだが、7フィートとshowmaのアクションはライトウェイトの釣りだと感じている。
軽快でテンポよく釣り上がれるリズムが心地よかった。
有給休暇の島釣行の翌日の土曜日、雨の予報はそれほどには降らなかった。
僕は釣り具屋へ顔を出した。ちょうど常連のHさんとKさんが居た。そこでふたりとひとしきり話しをした。釣りの話もそれ以外の話も面白い。
結局なにも買わずに帰ったのだが、期待した雨量ではないにしろ、翌日の日曜日に川へ行ってみようと言う気になったのは、HさんとKさんと話してなにかしら触発されたからに違いなかった。
風が強くなってきた。幸い追い風だった。僕は波立つ川面にフライをキャストした。
ぽつりと雨が落ち出した。そろそろ潮時か。そう思った時、前方にゆるくカーブした流れが見えてきた。ここは居るな。
キャストした。フライにヤマメが出てフッキングするまでのプロセスが思い出せない。
雨粒が強風にのってバチバチ当たり始め、showma 7フィート#4 は大きく曲がった。
僕は次の週末、HさんとKさんに会えたらこの日の釣りの話しをしようと思った。
あっという間に強制リリース。ヤマメ様、せっかちです(^^;
新緑の森だよ、CX−3くん(*^^*)
みるみる天候は悪化。でも気分良く帰れます(^^)
浅い流れが少し続く、道路脇の区間。ほとんど釣り人が入らない場所だ。
浅い中にもちょっとは深みのポイントがある。そこへキャストすると、バシュッと水しぶきがあがった。
ヤマメは走り、浅い流れに逃げ込んだ。よくこんな浅いところを泳ぐよな。
その少し上流の同じようなポイントでもまた出た。石の間を縫うように泳いであらがう。
ストレスのない反応は竿抜け区間ならでわだ。
反応が遠くなったのを期にいったん車へ戻った。そろそろ昼が近い。昼飯を食べるか、天候が荒れる前にもうひと釣りするか。今の穏やかな天気を考えたらそうすぐには荒れないだろうと思い、僕は昼飯を選んだ。かなり腹が減っていたのも否めないが。昼を食べている最中、少し風が強まってきた。スマホは圏外だからレーダーで雨雲の様子を見る事はできない。
強風と雨まであとどれくらい時間が残されているのだろうか? 僕は次の入渓の流れに思いを馳せた。この近くで良いところと言えば・・・・。あそこだ。 僕はひとつの流れを思い出した。