2019 釣乃記
第拾九話  梅雨入りアマゴ慕情
日曜日、釣り具屋で一週間前の釣りでクマを見た話しをした。やはりクマの存在は大きい。今回はおそらく僕が風上にいて、もし風下だったら獣の匂いがすごかったはずだと教わった。
店にはカウンターアソールトが入荷していた。今年は目撃例も多いらしい。

常連のHさんやYさんと話すのに、話題はここ数日の蒸し暑さに尽きる。梅雨入りして湿度は上がったが雨はさほど降らないままだった。
maekawacraft 6'3"鍾馗は今季初出撃。
釣り具屋に行ったその前の日の土曜日、雨の予報だったが金曜日になって土曜の午後からの降り始めに変わった。
それなら午前中だけ軽くやってみるか、と思いインターチェンジから近い川をいくつかリストアップした。
そのひとつ、数年ぶりで入るこの川、釣り人らしき車もなくどの区間も貸し切り状態だった。

小さな出方、合わすとズンっと重い。おお、いいのが掛かったと僕はその魚を取り込んだ。
浅い流れで出た。良い型だ。と思う間もなくバレた。どうもリズムがおかしい。写真撮り損ない以外にも良型を釣り損ねて、これも全て自分のミスだ。
さらにフライのロストが続き、最近巻いた最後のひとつ、これも浅い流れで今度はしっかり掛かった。
ああ、でも小さいや、と思ったが、いやいやきびしい条件で釣れてくれたんだ。
僕はつれなく逃げた最初のアマゴよりこっちのアマゴの方がかわいいやつだと思った。
まだ厳しい渇水気味の水位。アマゴ様ありがとう。
しばらく反応がないまま釣り上がった。梅雨入り後の雨の少なさで川は平水、きびしめであるには違いなかった。
かなり良さげなポイントはことごとく沈黙。インターチェンジから近い川はすなわち入渓者が多い川でもある。目ぼしいポイントは抜かれているようだ。
こうなると最初の良型アマゴはよく残っていたなと思う。完全に竿抜けのポイントだったのだろう。
ポソッとフライに出た。控えめサイズのアマゴが釣れた。うむむ、まだまだだな。
撮り損なったアマゴはもっとでかかった、って言っちゃダメだよね(>▽<;)
緑濃い細流。フライロストの嵐が始まった。
本降りになってきた。シーズン後半はこれから。
ネットの内径いっぱいのなかなかの良型アマゴ。川について数投目でこれだ。もう帰ってもいいな、なんて調子に乗って思っていた。するとアマゴがネットから跳び出した。ま、フックが掛かったままだから、とティペットを引っ張ると、なんとフックは外れていた。あー、写真撮る前に逃げられた! なんだこの感覚、釣ったのは確かなのにがっくりきた。僕の安易なミスだ。
いや、川についてすぐに良型が釣れたんだから、この先も期待できる。今のヤツよりでかいのを釣ればいいんだ、と自分に言い聞かせたが、それでも精神的なダメージは大きかった。
(あ、ない)僕はまた戦意が失われた。フライがついていない。クモの巣にティペットを切られた。もう六つ目だ。
細流の釣りは増水でやむなく入った時を除くと今季初だ。そしてクモの巣の猛襲。ロクにキャストせずにロストしたりもした。徐々に焦りが出つつあるのも自覚している。それもこれも最初の写真撮り損ないが響いている。とにかく落ち着こう。

一歩踏み出した時、プールをでかいのが走った。そこに居たのか!
雨が降り出したのでキャンプ場東屋でもぐもぐタイム。
新たに巻いてきて、この日唯一残ったフライ。