2019 釣乃記
第弐拾壱話  文月の愚図つく釣り
土曜日の日中はわりとよく降った。釣り具屋で常連のYさんが「この雨はたいしたことはない」、と言った。Yさん、確か僕が9人制バレーの応援に行く週末にもそう言ったね。で、翌日は大増水でしたよ。
ただ実際、僕も今回の雨では大増水にはなっていないと踏んでいた。翌日の日曜日はもちろん行く気です、Yさん。

そして日曜日、まだ霧雨の残る川は予想通り、やや増水というベストの水位だった。
もぐもぐタイムはレトルト牛丼とどんぎつね様(*^^*)
ずっと霧雨は降り続いていた。日差しはないから湿気はあるが蒸し暑くはない。
と、平らで斜めの石でずるコケた。浅い流れで顔以外はほぼ水没した。なんだ〜?
カメラは防水のポーチにいれているから無事。スマホも前日にPatagoniaの店で買ったワークステーションに入れていて無事だった。これは防水ではないと思うが一瞬なら平気のようだ。
それ以外は全て濡れた。フライの水分をとるカチーフもびしょ濡れだ。
中くらいのプール、流心を少しずらしてフライを落とすと釣れた。また釣れた。そしてまた。
小さいアマゴがよくフライを追ってくれる。

一度車に戻った。着替えはあるが、このあと薮をこぐ場所に入るつもりだったから、着替えず濡れたまま昼飯にした。温かい昼飯がなんともうまい。
そのあとの昼寝は省略、濡れているせいもあるが、なんとなくそういう気分ではなかった。
コロッケニャンコ先生! 裏口で失礼します。今日もここから近い川へ行ってきます(*^^*)
最後の最後に出てくれて、ありがとうございます(^人^)
ゴギゾーンに入った。増水=ゴギという数式が僕の中では成り立っている。
しかしゴギも沈黙したままだった。結局反応があったのはチビアマゴばかりだった。

霧雨は止まない。どうせ濡れているからと、カッパは着ずにそのまま釣りをした。
すると雨足が強まってきた。ドライフライも水気を取り切れないのですぐに沈む。
辺りは朝よりも薄暗くなってきた。
この時点で実はずぶ濡れです(^^;)
結局霧雨が止む事はなかった愚図ついた一日。
水面高く飛び出たアマゴ様。
川筋は静かだった。川に沿う道路は全く車が通らない。近くに民家もない。かなり手前で草刈作業中の看板が出ていたが日曜日だから作業も休みだろう。ときおりウグイスが鳴いた。ウグイスは春だけでなく年中鳴くらしい。
僕は上流へ進んだ。何匹か釣れたがみんな小さい。そしてやはり水位は思った以上に高い。そこそこ型のいい魚は増水時の水流の影響も多く受けるためより安全な場所に避難してなかなか出てこず、小さい魚は影響を受けにくいから早くから流れに戻ってフライを追う、とそういうことがあるのではないかと僕は仮説を立てた。
フライをキャストしたが見えずらい。ポコッと魚体が水面から突き出た。
合わすと今までのチビたちとは明らかに違った感触が伝わってきた。
(僕の仮説が外れてくれた!)と思い魚を寄せたが、小さくはないがそこまで大きくはない、なんだか微妙なサイズだ。

微風が吹いた。晴れの日なら気化熱で気持ちのいい風だったろうけど、今はまだシャツは濡れていて僕は身震いをした。
この日の川は本命ポイントが決まっていた。少し前に良い出方をしたのに空振りしたポイント。そこを雨が降ったら狙おうと決めていた。
そのポイントへ近づくにつれ、僕は上から見る以上に川は増水している事に気が付いた。
遡行はできるがけっこう流れが重い。おそらく前日の土曜日はもっと多かったか、それとも土曜日の夜の降雨で増えたか。
本命ポイントは沈黙したまま、フライには一度も出なかった。もう少し水が引いていたら。
水分はくまなく行き届いているようです。
霧が沸き立つ。おそらく湿度は90%超え。